三井住友アセットマネジメントが運用する、
「三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン」(愛称:椰子の実)。

知名度はかなり廃れたものの、過去はモーニングスターの
ファンド・オブ・ザ・イヤーの最優秀ファンド賞(国際株式型)を
受賞するなど、業界でそれなりの話題性があったファンドでした。

今日は椰子の実について徹底的に分析していきます。

投資信託「椰子の実」の基本情報

投資対象は?

投資対象は日本を除く、アジア・オセアニア各国地域の好配当の株式、
不動産投資信託などに投資をします。

典型的なテーマ型アクティブファンドですね。国別でみると、
オーストラリア、香港、台湾などの比率が高くなっています。

投資先は約90パーセント弱が株式でありリートは約8パーセント程度に
留まっていますが、アジアリートで投資可能な国は実質的に香港か
シンガポールくらいしか無いことを考えると、やむを得ないポートフォリオなのでしょう。

運用の特徴は?

マザーファンドの運用会社は、三井住友アセットマネジメントの香港拠点である
スミトモ ミツイ アセットマネジメント(ホンコン)リミテッドであり、
このタイプのファンドにしては珍しく運用を外部委託していないことが特徴的です。

純資産総額は?

2018年9月 現在の純資産総額は、約480億円です。

ピーク時は880億を超える純資産総額だったのですが、運用パフォーマンスが
優れない中、過剰な分配を続けた結果、2014年ごろまでは資金流出が止まりませんでした。

その後、分配金を2倍に増やすという暴挙に出て、見かけの分配利回りが高くなったことで、
一時的に資金流入が増加。結局過剰な分配は維持することができなくなり、今に至ると
言った状況です。

このように純資産総額を増やしたいがために、分配金を無理に増やすような
ファンドには絶対投資してはいけません。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

椰子の実の実質コストは約2.0%となってお、かなり高い水準となっています。
ただでさえ、運用実績が優れないのにこのコストは高すぎますね。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.7064%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 2.0795%(概算値)

※第156期 運用報告書(決算日2018年7月18日)より

投資信託「椰子の実」の評価分析

基準価格をどう見る?

2018年9月12日現在の基準価額は4629円と、一目見て毎月分配型と
推測できるような数値です。

他の運用会社による類似した運用コンセプトのファンドと比較すると、
運用パフォーマンスそのものは悪くありません。

しかし過剰な分配をしていることから基準価額は下落し続けています。

椰子の実自体のパフォーマンスは年5%程度ですので、
現在の基準価額を維持するのはまず無理でしょう。

利回りはどう?

直近1年間の利回りを見てみると、+5.86%となっています。
3年、5年、10年の平均利回りを見ても5%を超えており、
安定的に収益を上げていることがわかります。


※2018年9月時点

四半期別運用パフォーマンス

毎年のパフォーマンスがどうだったのかも気になるところだと思いますので、
載せておきます。参考にしてください。

分配金の推移は?

前回の記事更新時に分配金余力が11カ月を切っているので、
減配が行われる可能性が高いと警鐘を鳴らしていましたが、
まさにそのとおりに、分配金が60円から30円に下げられました。

現状、分配金余力は15カ月程度まで増えましたが、依然として
安心できる水準ではありません。

評判はどう?

純資産総額に見られるとおり、受益者があまりいないためか口コミ総数
そのものが少ないです。そして数少ない口コミや評価を見ると、やはり散々です。

受益者からのコメントに好意的なもの、は全く見受けられません。

人気度を測る指標として、月次の資金流出入額がありますが、
月次の純資産流出入額を見ても、詐欺的な分配金を始めた2015年は
何もわかっていない投資家から資金流入がおき、それ以降は
出たり入ったりしている状況です。

直近、分配金を下げたことにより、資金流出が起きています。
逆にそれまで数カ月資金流入が続いていたことに私としては、
驚きを隠せません。

投資信託「椰子の実」の今後の見通し

投資対象などのコンセプトは決して間違ってはいないと思いますが、
昨今の投資信託の傾向を考慮すると、毎月分配型である点と
高額な購入手数料・信託報酬が致命的にマイナスです。

また、最近は販売会社もファンドのパフォーマンスを厳しく見るように
なっているため、上述した運用実績では積極的に「椰子の実」を販売する
モチベーションは無いでしょう。

年1回決算型があるにも関わらず、その純資産額が1億円にも満たない
事実が、それを物語っています。

従って、報酬を引き下げ優秀なファンドマネージャーに変えない限り、
今後の「椰子の実」は基準価額・純資産ともに低下傾向をたどる運命に
あると思われます。

まとめ

これまで述べたように、「椰子の実」はアクティブファンドとしては
完全に失格であり、購入する理由は全く見当たりません。

同様の投資対象を狙いたいとお考えであれば、「椰子の実」ではなく
ETFを購入することをおすすめします。