大和証券投信委託が設定しているダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』。運用を米国初のリート運用会社に委託することで、なかなかのパフォーマンスを上げています。
今日は、ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』について徹底分析していきます。
「世界の街並みって投資対象としてどうなの?」
「世界の街並みって持ってて大丈夫なの?」
「世界の街並みより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の基本情報
投資対象は?
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』では、海外のリートに分散投資していきます。
このブログを見にくるような方は、リートの仕組みはすでにご存じかもしれませんが、リートは、あなたから集めた資金を使って、オフィスビルやホテル、病院等に投資をし、そこから得られる賃料収入や売買益などを配当として投資家に還元する仕組みになっています。
※引用:交付目論見書
今まで、あまり説明する機会がありませんでしたが、リートは仕組み上、法人税が実質免除されるような仕組みになっており、一般の事業会社と比べて、利益の多くを受け取ることが可能となっています。
※引用:交付目論見書
国・地域別の構成比率で見ると、アメリカが50%弱、次いで、オーストラリア、イギリスと続いています。毎月分配型のリートだとアメリカに特化したファンドが多いので、そういう意味では特徴的です。
用途別の構成比率も載せておきますので、参考までに見ておいてください。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
世界の街並みの純資産総額は現在670億円程度まで下落してきていますが、規模としては全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の実質コストは、1.79%と信託報酬よりもかなり高くなっています。
販売手数料も3%近くかかり、実質コストが1.79%ともなると、相当、良いファンドでないと投資する気になれませんね。
購入時手数料 | 2.75%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.628%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.79%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の評価分析
基準価額をどう見る?
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の基準価額(黄線)は直近3年間では6%程度のプラスとなっています。
一方で、分配金を受け取らずに運用した場合の基準価額(青線)も18%程度上昇していますので、分配金を受け取れて、かつ、運用益がそれ以上に出ていることがわかります。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、世界の街並みの利回りを見てみましょう。
直近1年間の利回りは6.39%となっています。3年、5年、10年平均利回りが安定して7%以上あるので、これくらいの利回りが安定して得られると投資をした価値を感じますね。
ただし、この段階で投資判断をしてはいけません。類似ファンドとパフォーマンスを比較したうえで投資をするか決めてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +6.39% |
3年 | +12.10% |
5年 | +7.11% |
10年 | +8.81% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外リートファンド ランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
世界の街並みは海外RIETカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
世界の街並みは5年・10年平均では上位15%以内にランクインしており、優秀なパフォーマンスとなっています。一方で、直近1年・3年平均は下位15%にランクインしており、波があるようです。
上位●% | |
1年 | 87% |
3年 | 87% |
5年 | 6% |
10年 | 14% |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2014年以降、プラスとマイナスのリターンを交互に繰り返しおり、時々2桁のプラスを出すことで、平均6%程度のリターンを確保しています。
毎年安定してプラスになっているわけではないという点は、投資をする前にしっかりと把握しておきましょう。
年間利回り | |
2023年 | +6.33%(1-9月) |
2022年 | ▲14.19% |
2021年 | +40.40% |
2020年 | ▲4.91% |
2019年 | +25.26% |
2018年 | ▲6.90% |
2017年 | +11.31% |
2016年 | ▲4.03% |
2015年 | +3.68% |
2014年 | +39.31% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
世界の街並みに投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、S&P先進国REIT指数に連動するSMTグローバルREITインデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、SMTグローバルREITインデックスが上回っています。これであれば、高いコストを支払ってアクティブファンドに投資する意味はありませんね。
もう少し長期のパフォーマンスを比較するとどうでしょう?
世界の街並み | SMTグローバル | |
1年 | +6.39% | +6.99% |
3年 | +12.10% | +15.47% |
5年 | +7.11% | +6.06% |
10年 | +8.81% | +7.89% |
※2023年10月時点
5年、10年のより長い期間でパフォーマンスを比較してみると、世界の街並みが勝っています。長期投資を前提に考えるのであれば、、世界の街並みに投資する価値があると言えます。
類似ファンドとの利回り比較
世界の街並みのような毎月分配型ファンドに投資をするのであれば、他の毎月分配型ファンドとパフォーマンスを比較しておくのは悪くありません。
毎月分配型ファンドにおいて一番重要なのは分配金を多く受け取れるかではなく、ファンドがちゃんと運用益を得ていて、その運用益の範囲で分配金を出しているかという点です。
そこで、今回は、私が毎月分配型ファンドであれば唯一おすすめしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Dコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
株式ファンドとグローバルREITを比較しているので、パフォーマンスには当然差がでますが、2022年以降は、米国成長株投信の圧勝です。
毎月分配金を受け取るならREITがいいと直感的に感じている方もいるかもしれませんが、REITは大きな下落相場でとにかく弱いので、米国成長株投信のような高いパフォーマンスのファンドに投資をするほうが最終的に受け取れる分配金は多くなります。
世界の街並み | AB米国成長 | |
1年 | +6.39% | +25.31% |
3年 | +12.10% | +18.17% |
5年 | +7.11% | +16.62% |
10年 | +8.81% | - |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲31.32% |
3カ月 | ▲48.15% |
6カ月 | ▲56.84% |
12カ月 | ▲58.98% |
※2023年10月時点
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』では、2008年3月~2009年2月の間に最大58.98%下落しています。
リーマンショックで米国リートが軒並み下落したことがここまでの下落につながったと言えます。気に留めておいてほしいのは、株式でなくても50%程度下落してしまうことが場合によってはあるということです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
175円 | 120円 | 246% |
※2022/10/13~2023/10/13
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の直近1年間の分配健全度は246%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。
『世界の街並み』は100%以上ですので、直近1年間にあなたが受け取った分配金はすべてファンドの収益から支払われています。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。
分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を基準価額で割ることで計算できます。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | +6.39% | +3.3% |
3年 | +12.10% | |
5年 | +7.11% | |
10年 | +8.81% |
※2023年10月時点
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の分配金利回りは3.3%なので、海外REITファンドの中でも、かなり健全な運用がされています。
運用利回りのほうが分配金利回りよりも高いので、これならファンドの収益の範囲内で分配金を支払えますね。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気をつけてほしいと思います。
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。
世界の街並みの分配金余力は、まだ150カ月以上ありますので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫そうです。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
201期 | 10円 | 1,523円 | 153.3ヵ月 |
202期 | 10円 | 1,515円 | 152.5ヵ月 |
203期 | 10円 | 1,509円 | 151.9ヵ月 |
204期 | 10円 | 1,518円 | 152.8ヵ月 |
205期 | 10円 | 1,525円 | 153.5ヵ月 |
206期 | 10円 | 1,523円 | 153.3ヵ月 |
207期 | 10円 | 1,515円 | 152.5ヵ月 |
208期 | 10円 | 1,507円 | 151.7ヵ月 |
209期 | 10円 | 1,510円 | 152ヵ月 |
210期 | 10円 | 1,506円 | 151.6ヵ月 |
211期 | 10円 | 1,502円 | 151.2ヵ月 |
212期 | 10円 | 1,502円 | 151.2ヵ月 |
※引用:最新運用報告書
評判はどう?
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流出しているということは、それだけ世界の街並みを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。
パッと見てわかるとおり、2018年からほぼ毎月資金が流出しています。毎月分配型のファンドは風当たりが強いという点と、分配金利回りが低いというのも投資家から敬遠されている理由でしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』のNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAのみ対応しています。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
ダイワ・グローバルREIT・オープン『世界の街並み』の今後の見通し
いかがでしょうか?
世界のリート指数は、年平均利回りにして5%程度の運用は十分に期待ができます。現在の世界の街並みの分配金利回りが3%台なので、この利回りであれば、配当を受け取っていたとしても、基準価額が大幅下落する心配はないでしょう。
ただ、改めてになりますが、ファンドの運用利回りと分配金利回りは全くの別物です。
運用利回り10%と言えば、100万円を投資した場合、年10万円の運用益を受け取ることができます。一方で、分配金利回り10%という場合は違います。
仮にファンドの運用利回りが3%しかなくても分配金利回りを10%にすることはできるのです。その結果、100万円投資をして、ファンドの運用益は3万円しかないにもかかわらず、あなたは10万円の分配金を受け取ることになります。
では、運用益と分配金の差額の7万円はどこから出てきているのかと言えば、あなたの投資した元本の100万円から支払われているのです。
つまり、分配金利回りがいくら高くても、ファンドの運用利回りが低ければ、まったく意味がないということです。毎月分配型ファンドは私はそもそもおすすめはしませんが、それでも投資をしたいという場合、ファンドの選定基準は分配金利回りが高いか低いかではありません。
ファンドの運用利回りがちゃんとプラス(大きいほど良い)で、運用利回りの範囲内か、少し超える程度で分配金を出しているファンドを選ぶべきです。
もちろん世界の街並みはインデックスファンドと比較をしてもパフォーマンスで優位にたっていますので、RIET内に限った話であれば、投資してもよいでしょう。
ただ、ファンドが高いパフォーマンスを発揮して、その運用益から多くの分配金を受け取ることを目的とするのであれば、RIET以外も選択肢になりえます。
今回紹介したようなアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Dコースは米国株ファンドですが、REITと比べて運用利回りは相当高くなります。
運用利回りが高いということは、それだけ分配金を受け取っても、タコ足配当にならないということなので、一度検討する価値があると思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点