20年近く前から運用されていて、未だ根強いファンがいるフィデリティのフィデリティ・ジャパン・オープン。
果たして、フィデリティ・ジャパン・オープンとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「フィデリティ・ジャパン・オープンって投資対象としてどうなの?」
「フィデリティ・ジャパン・オープンって持ってて大丈夫なの?」
「フィデリティ・ジャパン・オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
フィデリティ・ジャパン・オープンの基本情報
投資対象は?
フィデリティ・ジャパン・オープンの投資対象は、日本の株式です。高成長企業(市場平均等に比較し、高い成長力があり、その持続が長期的に可能と判断される企業)を選定し、利益成長性等と比較して、妥当と判断される株価水準で投資を行います。
また、TOPIX(配当込み)をベンチマークとし、中長期でベンチマークを上回るパフォーマンスを目指します。
業種別の構成比率をいると、電気機器の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
フィデリティ・ジャパン・オープンの現在の組入銘柄数は89銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、フィデリティ・ジャパン・オープンの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
フィデリティ・ジャパン・オープンの純資産総額は、現在約580億円です。2000年に入ったころは、5400億円の規模のファンドとなっていましたが、ここ10年くらいは大きな純資産に大きな変動がありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
フィデリティ・ジャパン・オープンの実質コストは1.720%となっており、かなり割高です。購入時手数料もしっかり3.3%かかりますので、投資をする際は慎重に行いましょう。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.683%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.720%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
フィデリティ・ジャパン・オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
フィデリティ・ジャパン・オープンの基準価額を見てみましょう。
2022年に大きく下落しましたが、2023年に入って回復基調となっています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、フィデリティ・ジャパン・オープンの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは20.64%となっています。他の期間で見ても、6%程度の利回りは確保できているので、悪くなさそうです。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +20.64% |
3年 | +8.18% |
5年 | +5.98% |
10年 | +8.78% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
フィデリティ・ジャパン・オープンは、国内大型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
フィデリティ・ジャパン・オープンは、どの期間においても下位30%となっており、もっと他に優れたパフォーマンスのファンドが多数あることがわかります。
上位●% | |
1年 | 74% |
3年 | 82% |
5年 | 79% |
10年 | 71% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
フィデリティ・ジャパン・オープンの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2018年の20%のマイナスが大きく響いていますが、この10年間のパフォーマンスはけして悪くありません。
年間利回り | |
2023年 | +13.27%(1-9月) |
2022年 | ▲13.57% |
2021年 | +9.46% |
2020年 | +18.53% |
2019年 | +28.25% |
2018年 | ▲20.16% |
2017年 | +31.68% |
2016年 | ▲0.76% |
2015年 | +11.69% |
2014年 | +7.74% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
フィデリティ・ジャパン・オープンに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、フィデリティ・ジャパン・オープンと日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2022年以降、フィデリティ・ジャパン・オープンのパフォーマンスが下回っています。
販売手数料もない信託報酬も安いインデックスファンドと比較して、ここまで差がつくと投資家としてもフィデリティ・ジャパン・オープンを選択する理由が見当たりません。
5年、10年平均利回りでも、ニッセイ 日経225インデックスファンドのパフォーマンスを比較してみても同じ結果ですので、これは投資してはいけませんね。
年平均利回り | フィデリティ・ジャパン | ニッセイ日経 225 |
1年 | +20.64% | +25.03% |
3年 | +8.18% | +13.02% |
5年 | +5.98% | +7.56% |
10年 | +8.78% | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
フィデリティ・ジャパン・オープンに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、国内の大型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンスを残している厳選投資とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間、フィデリティ・ジャパン・オープンが上回っています。
長期のパフォーマンスでみると、10年だけ厳選投資が大きく上回っていますので、長期で大きなリターンを期待するのであれば、厳選投資を選択するのも悪くありません。
年平均利回り | フィデリティ・ジャパン | 厳選投資 |
1年 | +20.64% | +27.48% |
3年 | +8.18% | +8.05% |
5年 | +5.98% | +5.79% |
10年 | +8.78% | +13.60% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、フィデリティ・ジャパン・オープンの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲23.72% |
3カ月 | ▲35.70% |
6カ月 | ▲41.52% |
12カ月 | ▲49.22% |
※2023年10月時点
フィデリティ・ジャパン・オープンの最大下落率は2007年11月~2008年10月で▲49.22%となっています。リーマンショックのような大暴落に遭遇するとこれくらいの下落は覚悟しておく必要があります。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
フィデリティ・ジャパン・オープンの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、フィデリティ・ジャパン・オープンの評判を見てみましょう。
ほぼ全期間、流出超過となっており、インデックスファンドに負けているようでは、この結果は仕方ないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
フィデリティ・ジャパン・オープンはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
フィデリティ・ジャパン・オープンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
しかし、フィデリティ・ジャパン・オープンはそもそもパフォーマンスでインデックスファンドに負けてしまっています。
中長期でみれば、年5~6%のリターンは期待できますが、他にもっと優れたファンドがある中で、あえて、フィデリティ・ジャパン・オープンに投資を続ける理由もありません。
購入時手数料が高いのも気になりますし、信託報酬もかなり割高です。運用会社を儲けさせたい人以外は投資をしないほうが賢明と言えるでしょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点