日本でも熊本県に世界的な半導体大手のTSMCが拠点を作ったということで、熊本県がバブルに湧いていますが、PCやスマホに不可欠な半導体は今最も注目されているテーマの1つです。
今日は、その半導体に特化したテーマ側ファンドである三井住友トラスト・アセットマネジメントの半導体関連 世界株式戦略ファンドを徹底分析していきます。
こんなことがわかる
- 半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』は投資対象として、あり?なし?
- 半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』より良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』の評判や口コミは?
まず、皆さんが一番気になるであろう半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』の評判や口コミを見ていきます。
半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』の評判を知る上でいくつかの方法があります。
①純資産総額から見える評判
純資産総額とは、投資家から集めまっている資金の総額(運用益を含む)だと思ってください。
純資産総額が大きい=多くの投資家が将来性を感じて投資をしていることになるため、評判の良さを測る上での1つの指標になります。
あくまでも感覚値ですが、
ポイント
- 100億以下=評判よくない
- 100~500億=どっちつかず
- 500億円以上=評判いい
- 1000億円以上=かなり評判いい
と思っておけばいいです。
では、半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』の純資産総額がいくらかと言うと、2024年9月時点で約2400億円ですので、かなりの評判のいいファンドだと判断できます。
※引用:マンスリーレポート
②月次の資金流出入額から見える評判
資金流出入額では、毎月ファンドに資金が流入しているのか流出しているのかがわかります。
純資産総額と併せて、資金流出入額を見ることで、純資産額が大きくても、評判が落ちてきているファンドに気づくことができます。
例えば、AIやDX、ヒトゲノム、モビリティなど、特定のテーマが非常に人気になり、資金が大量に流入し、純資産総額が1000億円をゆうに超えているファンドが多数あります。
ただ、中にはテーマの人気がなくなり、どんどん資金が流出しているファンドもあるのですが、それでも依然1000億円以上の純資産総額のファンドもあります。
こういったファンドはピークが過ぎており、お世辞にも評判が良いとは言えないわけですが、純資産総額だけを見ていても、判断ができません。
そのため、月次の流出入額を見ることで、資産規模が大きく今も流入を続けている評判の良いファンドなのか、資産規模が大きいが流出が続いており、評判は良くないファンドなのかを判断する役に立ちます。
半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』は、流入量に差はあるものの、毎月資金が流出しているので評判はいいとわかります。
※引用:ウエルネスアドバイザー
③Yahoo!ファイナンス掲示板やXの口コミから見える評判
ここでは、Yahoo!ファイナンス掲示板やXでの口コミをまとめました。
口コミ①
テーマ型のアクティブファンドというのは、流行り廃りがあるので、大口の投資家が手を引き始めれば、当然、投資信託の基準価額も下落していきます。
そのタイミングをはかるのが難しいわけですが、基本的にベストなタイミングで売り抜けるのは難しいです。
ですので、色々なテーマ型の銘柄も混在しているS&P500やオールカントリーといった数百、数千の銘柄に分散投資をしたほうが気楽に投資ができますよ。
欲を出すと、日々精神的にしんどいですし、うまく行かないことがほとんどです。
口コミ②
いまだ投資信託で短期で儲けようとする人がいることに驚きを隠せませんが、投資信託はそもそも短期で利益を出すような思想で作られた商品ではありません。
少なくとも10年以上保有する気がないのであれば、投資信託には投資をしないほうがいいです。
投機的な取引をしたいのであれば、個別株を取引きすればいいですし、自分で銘柄が選べないということであれば、そもそも個別株を取引きするレベルに自分がないと思うべきですね。
口コミ③
投資信託の中でも、値動きの大きいファンド小さいファンドというのがあります。またテーマ型のファンドや組入れ銘柄数が少ないファンドというのも値動きが大きくなります。
半導体関連銘柄は2024年の中頃まで異常な急騰を見せていたので、その反動でわずか1か月程度で、30%以上の大きな下落が起きました。
パフォーマンスが良すぎるファンドというのは、平均回帰の原則で、その後、パフォーマンスが急激に悪くなることが多いので、注意が必要です。
さて、ここまで半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』の評判や口コミを見てきましたが、
要注意
投資において、よくわからないからという理由で、評判や口コミだけを信じて投資をする人は三流投資家です。
多くの投資家を見てきましたが、ほぼ100%どこかで大損します。
ですので、他人の評判だけをアテにするのではなく、自分でもちゃんと納得した上で投資をしたい人は、私が独自の切り口で、半導体関連 世界株式戦略ファンド『半導体革命』を評価・分析していますので、参考にしてください。
投資はどこまでいっても自己責任です。評判だけを頼りに投資をしている人よりも1ランク2ランクは軽くレベルアップできるはずです。
半導体関連 世界株式戦略ファンド 『愛称:半導体革命』の独自評価と分析
投資対象は?
半導体革命の投資対象は、世界の半導体関連企業の株式です。ケイマン籍円建て外国投資信託証券を通じて、半導体関連企業の株式に投資をしていきます。
現在の国別の比率を見ると、米国が約50%、次いで、日本、台湾となっています。国別の比率で見ると、あまり見ない国が上位に来ているので興味深いです。
※引用:マンスリーレポート
業種別の構成比率をいると、当然ですが、半導体の比率が80%を超えています。
※引用:マンスリーレポート
半導体革命の現在の組入銘柄数は45銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
熊本に進出したTSMCも上位3位に入っていますね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、半導体革命の純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。早期償還のリスクもありますね。
また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。最低でも50億円、余裕を持って100億円はほしいところです。
半導体革命の純資産総額は、現在約2400億円です。約1年でここまでの規模に成長しており、半導体関連企業の人気がよくわかります。規模としては全く問題ないですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
半導体革命の実質コストは1.73%となっており、かなり割高です。そして、購入時手数料が3.3%かかってくるので、運用会社と販売会社はここでしっかり儲けていますね。
少なくとも10年以上保有するつもりがないのであれば、手数料が高すぎて手を出すべきではありません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.728%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.73% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
基準価額をどう見る?
続いて、半導体革命の基準価額を見てみましょう。
約1年間で、+40%くらいまで基準価額が上昇しましたが、その後大きく下落し、10,000円近辺まで戻しています。
銘柄数を絞ったテーマ型のファンドにはよくある値動きですが、これは投資家には辛いですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、半導体革命の運用実績を見ていきます。
平均利回り | |
1年 | 19.10% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2024年9月時点
1年利回りは19.10%なので、十分高い利回りとなっています。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
同カテゴリー内での利回りランキングは?
半導体革命は、国際株式・グローバル・含む日本カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
半導体革命は、上位30%に入っているので、まずまずの結果ですね。
上位●% | |
1年 | 29% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2024年9月時点
年別のパフォーマンスは?
半導体革命の年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
年間利回り | |
2024年 | 31.49%(1-6月) |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
半導体革命に投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、MSCIコクサイ・インデックスを採用しているeMAXIS Slim 先進国株式インデックスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
2024年の中頃までは、半導体革命のほうがパフォーマンスで上回っていましたが、後半にかけて、emaxsi slim 先進国株式に逆転されています。
インデックスファンドと比較をしてもかなり値動きが大きいファンドだということがここからもわかります。
販売手数料もない信託報酬も安いインデックスファンドと比較して、これだけ差がつくと投資家としても半導体革命を選択する理由が見当たりませんね。
年平均利回り | 半導体革命 | slim 先進国株式 |
1年 | 19.10% | +22.39% |
3年 | ー | +17.20% |
5年 | ー | +20.70% |
10年 | ー | ー |
※2024年9月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
半導体革命に投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、先進国株式に投資をするアクティブファンドで非常に優れた成果を残している大和住銀DC海外アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
1年利回りではほぼ拮抗しており、優劣はつけれません。半導体革命はまだ運用がはじまったばかりですので、大和住銀DC海外アクティブファンドと同じくらい運用が長期でうまく行くファンドに成長してほしいものです。
年平均利回り | 半導体革命 | 大和住銀DC海外アクティブファンド |
1年 | 19.10% | +19.92% |
3年 | ー | +9.12% |
5年 | ー | +20.19% |
10年 | ー | +15.00% |
※2024年9月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、半導体革命の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.49% |
3カ月 | ▲14.34% |
6カ月 | +0.02% |
12カ月 | +18.82% |
※2024年9月時点
半導体革命は、2023年7月31日に設定されましたので、まだ大して大きな下落を経験していませんね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
半導体関連 世界株式戦略ファンド 『愛称:半導体革命』の個人的評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
半導体のようなテーマ型のアクティブファンドというのは、販売会社もかなり力を入れて資料を作るため、とても魅力的に映ると思います。
注意ポイント
ただ、注意してほしいのは、テーマ型のアクティブファンドというのは、パフォーマンスが長続きせず、大抵は廃れていきます。
色々なファンドを分析しているからこそわかりますが、インデックスファンドに長期勝てるファンドはほとんどないのが実態です。
にもかかわらず、高い購入時手数料と信託報酬がかかりますので、販売会社にとっては儲け所ですが、投資家からすると損することも多い商品だと思っておいた方がいいですね。
魅力的なテーマというのは、時代の流れに合わせて変遷していきます。
その変遷に合わせて、自分の投資先のファンドを入れ替えるのが難しいと思うのであれば、シンプルに先進国株式や全世界株式に投資をしておけば、ファンドマネージャーが勝手に銘柄を選定し、入れ替えてくれるので、こちらのほうがはるかに楽だと思いますよ。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点