アクティブファンド分析

Jリート・アジアミックス・オープンの評価や評判は?今後の見通しはどう?

何度もモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーで最優秀ファンドを受賞した経験のあるJリート・アジアミックス・オープン。Jリート以外に利回りの高いアジアのリートを組み入れることで、高いリターンを実現しています。

Jリート・アジアミックス・オープンは毎月決算型と資産成長型がありますが、今回は一番資金が集まっている毎月決算型を分析していきます。

「Jリート・アジアミックス・オープンって投資対象としてどうなの?」

「Jリート・アジアミックス・オープンって持ってて大丈夫なの?」

「Jリート・アジアミックス・オープンより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の基本情報

投資対象は?

Jリート・アジアミックス・オープンの投資対象は、日本を含むアジア・オセアニア各国のリートに投資をします。

国別の組入上位銘柄を見ていくと、約50%が日本のリートとなっており、残りの50%でアジア・オセアニアに分散しています。


※引用:マンスリーレポート

現在の組入銘柄数は39銘柄となっており、香港、オーストラリア、日本、シンガポールの銘柄がバランスよく配分されています。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

Jリート・アジアミックス・オープンはモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞しているにもかかわらず純資産は未だ130億円程度で規模としてはあまり大きくありません。ただ規模として問題はありません。


※引用:三井住友DSアセットマネジメント HP

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?

これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

Jリート・アジアミックス・オープンの実質コストは2.072%とかなり割高です。それに加えて高い購入時手数料もかかりますので、購入した初年度から5%以上資産が目減りしてしまいます。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.606%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 2.072%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の評価分析

基準価額をどう見る?

Jリート・アジアミックス・オープンの基準価額(黄線)は直近3年間で10%程度下落しています。

分配金を受け取らずに再投資して運用した時の基準価額(青線)を見ると、3年間で12%上昇していますので、運用はうまくいっており、分配金の支払いが多いため、基準価額が下落しているということがわかります。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

つづいて、Jリート・アジアミックス・オープンの運用実績を見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲0.70%となっています。3年・5年平均はプラス4%ですが、10年平均利回りを見ると、7%のプラスになっているので、REITであればこのくらいの利回りで十分でしょう。

ただし、この利回りだけを見て、投資判断をしてはいけません。他のファンドとパフォーマンスを比較してから、確信をもって、投資をするようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲0.70%
3年 +4.99%
5年 +4.50%
10年 +7.43%

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリート ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

Jリート・アジアミックス・オープンは、日本を含むグローバルREITカテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

Jリート・アジアミックス・オープンは、1年・3年平均はほぼ最下位となっています。10年平均利回りは上位40%に入っていますので、まあ及第点と言えるでしょう。

上位●%
1年 99%
3年 99%
5年 72%
10年 35%

※2023年10月時点

年別のパフォーマンスは?

Jリート・アジアミックス・オープンの年別のパフォーマンスも見てみましょう。

2015年、2020年、2022年はマイナスとなっていますが、それ以外の年では安定してプラスのリターンを出しています。

株式ファンドが不調だった2018年にプラスとなっており、株式ファンドが好調だった2020年にマイナスになっているので、ポートフォリオに組み入れると、リスクとリターンのバランスが取れそうです。

年間利回り
2023年 +1.19%(1-9月)
2022年 ▲7.39%
2021年 +15.95%
2020年 ▲7.30%
2019年 +24.37%
2018年 +4.87%
2017年 +9.74%
2016年 +5.90%
2015年 ▲2.87%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

類似ファンドとのパフォーマンス比較

Jリート・アジアミックス・オープンに投資を検討する上で、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンス比較はしておいて損がありません。

今回は、東証REIT指数に連動するニッセイ Jリートインデックスファンドとパフォーマンスを比較してみます。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ Jリートインデックスファンドがリードしています。

一方、10年平均利回りでは、Jリート・アジアミックス・オープンのほうが勝っていますので、優劣をつけるのは難しいですね。

Jリート・アジア ニッセイ Jリート
1年 ▲0.70% ▲0.72%
3年 +4.99% +6.12%
5年 +4.50% +4.56%
10年 +7.43% +5.61%

※2023年10月時点

最大下落率は?

Jリート・アジアミックス・オープンに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでJリート・アジアミックス・オープンの最大下落率を見てみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲24.41%
3カ月 ▲26.92%
6カ月 ▲25.38%
12カ月 ▲18.57%

※2023年10月時点

Jリート・アジアミックス・オープンは2020年1月~3月で最大27%近く下落しています。

REITは不動産に間接的に投資をする商品なので、リスクが低いと思われがちですが、決してそうゆうわけではないということです。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲1055円 1080円 2%

※2022/10/13~2023/10/13

Jリート・アジアミックス・オープンの直近1年間の分配健全度は2%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

Jリート・アジアミックス・オープンの分配健全度は2%なので、直近1年はあなたの受け取った分配金の大半はファンドの収益以外から支払われているということです。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。(分配金利回りは基準価額に対する分配金合計額で計算ができます。)

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲0.70% 12.8%
3年 +4.99%
5年 +4.50%
10年 +7.43%

※2023年10月時点

Jリート・アジアミックス・オープンの分配金利回りは12.8%で高めの設定となっています。

明らかにファンドの運用利回りを超える分配金利回りですので、あなたが受け取っている分配金の多くは投資元本から削られているのがわかります。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

Jリート・アジアミックス・オープンの分配金余力は、まだ30カ月程度ありますので、減配の心配はないと言えます。

分配金 繰越対象額 分配金余力
109期 90円 3,071円 35.1カ月
110期 90円 2,989円 34.2カ月
111期 90円 2,930円 33.6カ月
112期 90円 2,862円 32.8カ月
113期 90円 2,817円 32.3カ月
114期 90円 2,756円 31.6カ月
115期 90円 2,667円 30.6カ月
116期 90円 2,592円 29.8カ月
117期 90円 2,533円 29.1カ月
118期 90円 2,459円 28.3カ月
119期 90円 2,411円 27.8カ月
120期 90円 2,362円 27.2カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

それでは、Jリート・アジアミックス・オープンの評判はどうでしょうか?

ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。

Jリート・アジアミックス・オープンは2018年以降急激に純資産が流入しており、2021年後半~2022年前半にかけては流出超過となっていましたが、現在は流入超過となっています。総じて評判が良いことがわかりますね。

分配金利回りが高いので、目先の分配金に目を奪われている投資家が多いのだと思います。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

NISAやiDeCoで投資を検討している人も多いと思いますが、NISAのみ対応しています。

NISA iDeCo
×

※2023年10月時点

Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の評価まとめと今後の見通し

Jリート・アジアミックス・オープンは一時期非常にパフォーマンスが好調だったのですが、直近ではそこまで優れたパフォーマンスは残せていません。

その結果、分配金利回りが10%を超えており、ファンドの運用利回りをはるかに大きく超えています。

これはつまり、あなたが受け取っている分配金の多くはファンドの運用で出た利益以外から支払われているということです。(つまり投資元本等から削り取られているということ)

典型的なタコ足配当になっていますので、全くおすすめできません。

ただ、どうしても毎月分配型のファンドに投資をしたいという人もいると思います。そういう方におすすめなのが、アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Dコースです。

パフォーマンスが非常に優れており、出た利益の中からだけ分配金を支払っていますので、とても健全な運用がされています。毎月分配金狙いの人は一度検討してみることをおすすめします。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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