インデックスファンドの低コスト競争において、最前線で
戦っているニッセイアセットのインデックスシリーズ。
今日は、ニッセイJリートインデックスファンドの評価や
評判、実質コストなどについて徹底的に分析したいと思います。
ニッセイJリートインデックスファンドの基本情報
投資対象は?
投資対象は、国内に上場している不動産投資信託証券
(Jリート)で、東証REIT指数(配当込み)の動きに
連動する成果を目標とします。
そもそもJリート(J-REIT)とは、Jananese Real Estate
Investment Trustの頭文字をとったものです。
Jリートの仕組みは以下のようになっており、投資家から
集めた資金を用いて、不動産を購入し、購入した不動産を
賃貸したり、売却したりして収益を上げます。
その収益の一部が投資家に還元されるという仕組みです。
組み入れ銘柄上位を見てみると、上位には日本ビルファンド
投資法人、ジャパンリアルエステイト投資法人、野村不動産
マスターファンド投資法人が名を連ねています。
このあたりは不動産投資法人としては、かなり有名所ですね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額という
のも見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離
してしまうリスクがあります。
また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み
替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
あります。
ニッセイJリートインデックスファンドは2015年まで大きく
純資産を増やしていますが、それ以降はなかなか伸び悩んで
いました
その後、2018年~2019年は非常に好調で160億円をこえる
規模にまで成長しましたが、2020年のコロナショックの
影響で純資産は一気に104億円にまで減少しています。
Jリートは一瞬ではありますが、基準価額が50%以下になる
という大暴落でしたので、慌てて手放した投資家も多かった
のだと思います。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドにおいて、実質コストというのは
何よりも重要な項目です。
東証REIT指数連動型のインデックスファンドは運用会社
各社が作っていますが、運用リターンは東証REIT指数に
連動するため、どこも差がつきません。
そうすると、実質コストの部分で良し悪しを決めることに
なるわけです。
ニッセイJリートインデックスファンドのコストは、0.274%と
なっており、Jリート系のインデックスファンドの中でほぼ
最安値となっています。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.27%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.274%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
ニッセイJリートインデックスファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
ニッセイJリートインデックスファンドの基準価額の推移を
見てみると、2019年までは順調に右肩上がりに成長して
いますが、コロナショックの影響で恐ろしい下落をして
いることがわかります。
一瞬ではありますが、最高値から50%近く下落しており、
この下落を回復するまでにはかなり時間を要すると
思います。
※引用:モーニングスター
利回りは?
つづいて、ニッセイJリートインデックスファンドの運用
実績を見てみましょう。直近1年間の利回りは▲13.25%と
なっています。
3年平均利回りでみると+0.08%、5年平均利回りで+0.31%と
ほぼ5年間のリターンをすべて吹き飛ばしたといっても過言
ではないような状況です。
ただ今がほぼ一番最悪な状況であるのは間違いないので、
今後はパフォーマンスも回復していくでしょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解して
いますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいて
ください。
平均利回り | %ランク | |
1年 | ▲13.25% | 34% |
3年 | +0.08% | 36% |
5年 | +0.31% | 30% |
10年 | – | – |
※引用:2020年4月時点
標準偏差は?
ニッセイJリートインデックスファンドの標準偏差を調べる
ことで、相対的に基準価額の変動幅が大きいかどうかを調べる
ことが可能です。
通常、J-REITの標準偏差は7~8なのですが、直近1年間の
標準偏差は25近くになっており、以下に値動きが荒い相場
になっているかを物語っていますね。
標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのは
ご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えて
おいてくださいね。
標準偏差 | %ランク | |
1年 | 24.90 | 37% |
3年 | 15.55 | 41% |
5年 | 13.28 | 44% |
10年 | – | – |
※引用:2020年4月時点
年別のパフォーマンスは?
ニッセイJリートインデックスファンドの年別パフォーマ
ンスでは、2018年は10.65%と株式ファンドが下落するなかで
大きなプラスを残すことができました。
2019年も好調だったのですが、コロナショックではすべて
の資産が下落しており、REITも例外なくやられてしまった
恰好です。今後1年でどれだけ回復できるかに注目です。
年間利回り | |
2020年 | ▲24.56%(1-3月) |
2019年 | +24.70% |
2018年 | +10.65% |
2017年 | ▲6.94% |
2016年 | +9.36% |
2015年 | ▲5.13% |
2014年 | +28.74% |
※引用:2020年4月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
類似ファンドとのパフォーマンス比較
ニッセイJリートインデックスファンドへの投資を検討する
にあたり、類似のインデックスファンドとパフォーマンスを
比較しておいて損はありません。
今回は東証REIT指数を採用している代表的な低コストファ
ンドとニッセイJリートインデックスファンドのパフォーマ
ンスを比較してみました。
パフォーマンスはほとんど変わないことからわかるとおり、
東証RIET指数に連動しているインデックスファンドであれば、
どれを選択しても構いません。
ただ、ニッセイJリートインデックスファンドはコスト面から
わずかに優位な結果となっています。
※引用:モーニングスター
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が
気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性がある
のかという点かと思います。
下記に、ファンド設定来の最大下落率を期間別に集計して
ものを載せます。
コロナショック前までは最大下落率は13%程度でしたが、
今回のコロナショックの影響で最大下落率は25%近く
までになっています。
最高値近辺からの下落幅はもっと大きかったので、
コロナショックを目の当たりにして、慌てふためいた
方も多かったのではないでしょうか。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲20.44% |
3カ月 | ▲24.56% |
6カ月 | ▲25.11% |
12カ月 | ▲13.25% |
※引用:2020年4月時点
評判はどう?
続いて、ニッセイJリートインデックスファンドの評判を
見ていきたいと思います。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額
でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということにな
ます。
2019年はパフォーマンスが好調だったこともあり、資金流入が
つづきましたが、2019年末からはパフォーマンスが優れず、
資金流出が加速しているような状況です。
2020年3月以降の資金流出に関しては、ほぼすべてのアセット
クラスで流出していますので、あまり参考にはしないように
してください。
※引用:モーニングスター
ニッセイJリートインデックスファンドの評価まとめ
分散投資という観点からJリートを持っておこうと考えて
いる方も多いかと思います。
インデックス型のJリートであれば、このファンドはコストも
最安値に近く、持っておいても悪くないファンドだと思います。
ただ、一方で、リートというのは、不動産価値の上昇や家賃収入の
上昇が期待できるエリアで保有しないと利益を望めません。
そういう意味では、日本国内の不動産価値は今後、上昇していく
イメージはなく、新興国のリートのほうが購入するに値するのでは
ないかと思っています。
今回のコロナショックの影響ですでにファンドを手放した人
も多いかもしれませんが、J-REITにしてもその他のファンドに
しても基本は長期保有が前提となります。
正直、今後も同じような下落相場がどこかで必ず来ますので、
今後数年は耐える時期だと思い、保有を続けるほうが得策です。
逆にここで我慢ができないと次似たような相場が来ても同じ
ような行動を取ることになり、毎回含み損を抱えては徹底し
とう悪循環をたどることになります。
滅多にない相場だからこそ、しっかりと保有を続けられる
メンタルを鍛えていきましょう。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点