近年、非常に人気の高い米国株式ですが、中でもS&P500
に連動するインデックスファンドは各運用会社から次々に
登場しており、低コスト化も進んでいます。
それに合わせて、S&P500と双璧をなすNYダウも低コスト化
が進んでおり、一般の投資家も気軽に投資ができるように
なりました。
今回は、10年以上前からNYダウに連動するインデックス
ファンドを運用している三井住友トラストアセットの
SMTAM ダウ・ジョーンズ インデックスファンドを徹底
分析していきます。
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの基本情報
投資対象は?
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の投資
対象は、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)に
採用されている米国の主要な株式30銘柄に投資を行います。
ニュースで毎日、NYダウの速報値が発表されたりしている
ので、名前を聞いたことがないという人はいないと思います。
NYダウの推移を見てみると、約40年間で30倍に上昇して
おり、世界的に見ても、ここまで手堅く右肩上がりに上昇
している指数はありません。
銘柄に偏りがあるなど言われることもありますが、この
パフォーマンスは素晴らしいの一言です。
※引用:マンスリーレポート
米国株に多くの投資家が注目をし始めているのですが、案外
注目している理由が乏しいことが多いです。
ここで1つ私が米国株をなぜおすすめしているのかを紹介
します。
過去の歴史を紐解いても、経済の成長には生産年齢人口の
増加が大きく関わってきました。
生産年齢人口が増えれば、経済も成長するという簡単な
公式ですが、今後中国やインドがGDPでアメリカを追い
抜くというのもまさに生産年齢人口の大小が原因です。
ただ、ここで注目したいのは、先進国の中でもアメリカ
という国の特殊性です。
アメリカは先進国でありながら、今後生産年齢人口が
増えるとされている数少ない国の1つです。
これは移民政策によるところもありますが、日本や欧州と
比べて、生産年齢人口の減少度合いがまったくことなります。
これは、つまり今後も経済成長が期待できるという証拠の
1つなのです。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するように
してください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金
を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が
相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその
投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなる
こともありますので注意が必要です。
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド は純資産
総額は340億円です。
2009年から運用を開始していますが、純資産を着実に
増やしています。
後述しますが、コスト的には他のインデックスファンドに
劣りますが、長年運用している実績が信頼に繋がっている
形です。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用が
かかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買
手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストが
かなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の実質
コストは0.759%と近年の超低コストのインデックスファ
ンドと比較をするとまだまだ割高である印象です。
ただ、それ以上にパフォーマンスは優れているので、
あまり気にしていない投資家が多いというのもある
でしょう。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.759%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.783%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの評価分析
基準価額の推移は?
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の基準
価額は直近3年間で40%ほど上昇しています。
大きく下落してもすぐに反発する底堅さが米国株にはあり
ますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の直近
1年間の利回りは17%です。
3年、5年、10年平均利回りを見ても10%を超えており、
いかにNYダウが強いかわかります。
人によっては30銘柄に絞って投資をすることを恐がる人
もいますが、分散しておけば安心という考え方自体が
認知バイアスに囚われているかもしれません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | %ランク | |
1年 | 17.17% | 49% |
3年 | 13.08% | 24% |
5年 | 10.53% | 14% |
10年 | 15.16% | 34% |
※2020年2月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング
標準偏差は?
標準偏差まで確認する人はあまりいませんが、SMTAM
ダウ・ジョーンズ インデックスファンド の基準価額の
変動幅の大きさを知るには役立ちます。
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの標準
偏差は13前後ですので、一般的な株式ファンドと同じ水準
です。
標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのは
ご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えて
おいてくださいね。
標準偏差 | %ランク | |
1年 | 13.27 | 37% |
3年 | 13.59 | 31% |
5年 | 16.36 | 33% |
10年 | 16.77 | 15% |
※2020年2月時点
年別のパフォーマンスは?
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の年別
のパフォーマンスも見てみましょう。
2015年、2018年はマイナスとなっていますが、それ以外
の年でしっかりとマイナス分を取り戻しています。
これだけ大きなプラスのリターンを出せるのであれば、
1桁のマイナスはあまり気になりません。
年間利回り | |
2019年 | +23.96% |
2018年 | ▲7.21% |
2017年 | +23.43% |
2016年 | +9.92% |
2015年 | ▲0.15% |
※2020年2月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドに投資
を検討する上で、類似ファンドとのパフォーマンス比較
をしておいて損はありません。
今回はNYダウと双璧をなすS&P500に連動するeMAXIS
Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim 先進国株式イン
デックスと比較をしました。
結果、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは明らかに
パフォーマンスで劣りますが、残りの2ファンドは評価が
難しいです。
直近ではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が優位ですが、
大半の期間はSMTAMダウ・ジョーンズ インデックス
ファンドが勝っています。
※引用:モーニングスター
最大下落率は?
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド に投資
をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのか
を知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大き
く下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここでSMTAMダウ・ジョーンズ インデックス
ファンド の最大下落率を見てみましょう。
最大下落率は16%です。
運用期間は10年以上と短くはないのですが、リーマン
ショック以降に設定されたファンドであるため、そこ
まで大きな下落は経験していません。
今後、20%を超えるような下落があるかもしれませんが、
20%台の下落は来るものと今から心構えだけはしておいて
ください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまう
かもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲11.63% |
3カ月 | ▲14.15% |
6カ月 | ▲16.01% |
12カ月 | ▲14.02% |
※2020年2月時点
評判はどう?
それでは、SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド の
評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入
を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪く
なっていれば、資金が流出超過になります。
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドはパフォー
マンスだけを見れば、非常に優秀です。
近年、人気の高い超低コストのインデックスファンドに負け
ない水準です。
ただ、どうしても、他のインデックスファンドと比べると
割高であり、より低コストのNYダウに連動するインデック
スファンドに資金が流れているのでしょう。
※引用:モーニングスター
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの今後の見通し
2020年はアメリカの大統領選挙があり、その選挙前後で
相場が大きく動く可能性があります。
ただ、あくまでも短期的な動きであって、中長期的には
引き続き堅調な動きをすると考えています。
S&P500でもNYダウでもどちらでもよいのですが、一本は
指数に連動するインデックスファンドを持っておきたい
ものです。
またSMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの
コストは直近のインデックスファンドと比べるとどうし
ても割高です。
もし投資を検討するのであれば、コストが3分の1程度の
iFreeNYダウ・インデックスかたわらノーロードNYダウが
おすすめです。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点