ニッセイアセットマネジメントが運用する、ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)。Jリートは一部の投資家から絶大な人気を誇っていますが、粗悪品が多く、投資をするのであれば、注意しなくてはいけません。
ニッセイAMからは、ニッセイ Jリートファンド(毎月決算型)というほぼ同じファンドが少し早く設定されていますが、今日は、ニッセイJリートオープン(毎月分配型)について徹底分析していきます。
「ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)って持ってて大丈夫なの?」
「ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)って投資対象としてどうなの?」
「ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の基本情報
投資対象は?
ニッセイ Jリートオープン(毎月決算型)の投資対象はJリートです。
Jリートの仕組みはあなたから集めた資金を使って、国内のオフィスや商業テナント、ホテルなどに投資を行い、賃料収入や売却益を配当として、投資家に還元します。
※引用:交付目論見書
現在の組入銘柄数52銘柄と国内の不動産投資法人を9割近くカバーしており、資産規模の大きい投資法人が組入比率上位に入っています。
組入銘柄にオリジナリティが出せないので、パフォーマンスにも大きな差が出にくいという特徴があります。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
運用は、ニッセイ基礎研究所の調査・分析等の助言をもとに運用しています。ニッセイ基礎研究所は、1988年創業のニッセイグループのシンクタンクです。
生命保険分野にとどまらず、国内外の経済・金融・資産運用・年金福祉まで幅広い分野で、調査・研究をしています。
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よく運用できますし、ファンドの運用で必ず発生する保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが相対的に低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の直近の純資産額は約300億円程度となっています。減配のタイミングで大きく減ったり、パフォーマンスが好調で大きく増えたりとかなり大きく増減しています。
投資対象がJリートであることを考慮すると、運用会社としてはドル箱にはならないものの、安定した運用を続けるには、理想的なサイズと言えるでしょう。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の実質コストは1.18%となっており、後述しますが、インデックスファンドにパフォーマンスで負けているのにこのコストは高いですね。
購入時手数料 | 2.2%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.1%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.18%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の評価分析
基準価額をどう見る?
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の直近の基準価額は大きく上昇後に下落していますが、3年間で5%上昇しています。
一方で、分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青)は13%程度上昇していますので、差分は分配に回っていることが分かります。
なお、基準価額が10,000円近辺にありますので、過剰な分配をしてきていない健全なファンドであることがわかりますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲1.05%となっています。そのほかの期間も3~5%とまずまずの成果が出ていますが、まだこの時点で判断するのは時期尚早です。
他のファンドと比較をしてから投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲1.05% |
3年 | +5.09% |
5年 | +3.73% |
10年 | +4.86% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出しているJ-REITファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)は、国内RIETカテゴリ―に属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)は、どの期間においても下位10%~25%にランクインしており、他にもっとパフォーマンスの優れたファンドが多数あるということがわかります。
上位●% | |
1年 | 78% |
3年 | 90% |
5年 | 91% |
10年 | 91% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
では、ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
プラスの年は2桁近いプラスが出ることも多いですが、それを相殺するかのようにマイナスで終わる年も多いので、毎年安定してプラスが出るようなファンドではないことを事前に理解しておいてください。
年間利回り | |
2022年 | +1.21%(1-9月) |
2022年 | ▲5.36% |
2021年 | +16.94% |
2020年 | ▲13.12% |
2019年 | +23.46% |
2018年 | +9.54% |
2017年 | ▲8.09% |
2016年 | +7.76% |
2015年 | ▲5.23% |
2014年 | +27.88% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)への投資を検討する上で、インデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、東証REIT指数をベンチマークとするニッセイ Jリートインデックスファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ Jリートインデックスファンドのほうが、高いパフォーマンスの期間が多く、これでは高いコストを払ってまでニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)に投資をするメリットがありません。
より長期のパフォーマンスで比較をしても同じような結果となっています。
ニッセイJリートオープン | ニッセイJリートインデックス | |
1年 | ▲1.05% | ▲0.72% |
3年 | +5.09% | +6.12% |
5年 | +3.73% | +4.56% |
10年 | +4.86% | +5.61% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドへの投資もよいですが、優れたアクティブファンドへの投資も選択肢として悪くありません。
J-REITファンドはJ-RIET自体の数が少ないため、パフォーマンスに大きな差は生まれないのですが、せっかく投資をするのであれば、良いパフォーマンスのファンドに投資をしたいものです。
そこで、今回はJ-RIETファンドの中でも特にパフォーマンスの優れたJ-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)のほうがパフォーマンスで優れていることがわかります。
10年でかなりパフォーマンスが変わるので、あえて、ニッセイJリートオープンを選択する理由がありません。
ニッセイJリートオープン | J-REIT・リサーチ | |
1年 | ▲1.05% | ▲0.81% |
3年 | +5.09% | +6.01% |
5年 | +3.73% | +4.94% |
10年 | +4.86% | +6.27% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)に投資をするうえで、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の最大下落率は2020年2月~4月の3カ月間で▲26.96%となっており、コロナショックで最大下落率を更新してしまいました。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.68% |
3カ月 | ▲26.96% |
6カ月 | ▲26.76% |
12カ月 | ▲23.12% |
※2023年10月時点
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
▲291円 | 300円 | 3% |
※2022/10/13~2023/10/13
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の直近1年間の分配健全度は3%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。
3%ということは、大半がファンドの収益以外から分配金が支払われています。直近1年間はファンドの運用もマイナスで、さらに過剰な分配をしているため、あなたの投資元本が相当大きく削られているということです。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。
運用利回り | 分配利回り | |
1年 | ▲1.05% | 3.02% |
3年 | +5.09% | |
5年 | +3.73% | |
10年 | +4.86% |
※2023年10月時点
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の分配金利回りは、他のファンドと比べるとかなり健全な水準にあると言えます。
ただ、それ以上にファンドの運用利回りが低く、直近1年では、分配利回りよりを下回っているので、タコ足配当になってしまっていますね。
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の分配金余力は、まだ200カ月以上ありますので、まず大丈夫ですね。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
148期 | 25円 | 5,193円 | 208.7カ月 |
149期 | 125円 | 5,187円 | 208.5カ月 |
150期 | 25円 | 5,200円 | 209カ月 |
151期 | 25円 | 5,234円 | 210.4カ月 |
152期 | 25円 | 5,224円 | 210カ月 |
153期 | 25円 | 5,212円 | 209.5カ月 |
154期 | 25円 | 5,202円 | 209カ月 |
155期 | 25円 | 5,195円 | 208.8カ月 |
156期 | 25円 | 5,208円 | 209.3カ月 |
157期 | 25円 | 5,231円 | 210.2カ月 |
158期 | 25円 | 5,229円 | 210.2カ月 |
159期 | 25円 | 5,221円 | 209.8カ月 |
※引用:運用報告書
評判はどう?
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流出しているということは、それだけニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)を解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。
2019年は記念配当が多く、分配金が異常に多かったため、多くの投資家が飛びつきましたが、2020年以降は分配金の利回りも低いため、多くの投資家がより高い分配金利回りのファンドを求めて、離脱していきました。
毎月分配型ファンドなので、当然ですが、評判は良くないです。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)のNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAのみ対応しています。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
ニッセイ Jリートオープン(毎月分配型)の評価まとめと分配金の今後の見通し
ニッセイJリートオープン(毎月分配型)は他の毎月分配型ファンドと比較をするとかなり健全な運用がされてはいます。基準価額が10000円を超えて推移しているのは、過剰なタコ足配当を続けてこなかったからです。
ただし、根本的にファンドのパフォーマンスが優れていないというのも大きな問題です。
少なくとも東証RIET指数に連動するインデックスファンドにパフォーマンスで劣るようであれば、あえて高いコストを支払って投資する価値があるとは言えません。
J-REIT自体の本数が少ないため、どのファンドでもそこまで大きな差はつきませんが、それでもインデックスファンドをアウトパフォームするような運用成果をだしているファンドも存在しています。
直近のパフォーマンスは優れませんが、ポートフォリオの一貫として、J-REITファンドを保有するというのは、悪くない考え方です。
ですので、保有するのであれば、高い成果が期待できるファンドに投資をするようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点