10年前くらいに設定され、陰ながら非常に高いパフォーマンスを出し続けているのがUBS 次世代テクノロジー・ファンド。
コロナショック以降、テクノロジー系の株式が非常に好調ということもあり、UBS 次世代テクノロジー・ファンドにも再度、注目が集まっています。
今日はこの、UBS 次世代テクノロジー・ファンドの評価や評判を独自の目線で分析していきます。
「UBS 次世代テクノロジー・ファンドって投資対象としてどうなの?」
「UBS 次世代テクノロジー・ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「UBS 次世代テクノロジー・ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの基本情報
投資対象は?
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの投資対象は、今後、成長が期待される次世代テクノロジー企業の株式です。
テーマとしては、情報・医療・環境・宇宙などのセクターが中心になります。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの国別の組入れ比率を見てみると、約86%が米国となっており、実質的に米国株式ファンドと言っても、差し支えないです。セクター別の構成を見ると、情報テクノロジーのセクターの比率がとにかく高くなっています。
※引用:マンスリーレポート
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは銘柄数を30銘柄とかなり絞り込んでいます。
具体的な組入れ銘柄上位を見てみると、米国でも有名な企業が大半を占めています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、UBS 次世代テクノロジー・ファンドの純資産総額はどうなっているか見ていきます。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは130億円程度で、10年近く運用している割には規模は大きくありませんが、この規模あれば投資するには十分です。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの実質コストは1.99%とかなり割高の手数料となっています。購入時手数料もかかってきますので、本当に良いと思わない限りは投資しないようにしましょう。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.837%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.99%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは分配金を大きく出していることもあり、基準価額はコロナショック前後の水準と大して変わらない位置にします。
ただ、分配金を再投資した場合の基準価額(青線)を見ると、直近3年間で大きく上下に揺れながらも上昇をしています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、UBS 次世代テクノロジー・ファンドの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは+33.11%で、3年、5年、10年平均利回りを見ても、15%を超えており、優れた成果を残しています。
ただし、この利回りだけを見て、良いファンドだと判断するのは早計です。しっかりと他のファンドと比較をしたうえで、投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +33.11% |
3年 | +15.75% |
5年 | +15.08% |
10年 | +17.51% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは、優れたファンドが多い国際株式の北米株カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは、直近3年ほどのパフォーマンスは優れませんが、中長期では、それ以外の期間では上位20%に入っており、かなり優秀と言えます。
最低でもこれくらい中長期で優れた成果を残し続けているファンドに投資をしたいものです。
上位●% | |
1年 | 8% |
3年 | 68% |
5年 | 16% |
10年 | 8% |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2022年はテック系の銘柄が軒並み大幅下落していますが、まさにその影響をもろに受けた形です。▲30%というのはさすがに投資をしている側も気が滅入りますね。
ただ、それ以外の年で、十分マイナスをカバーできているのが強みと言えます。
年間利回り | |
2023年 | 39.01%(1-9月) |
2022年 | ▲30.49% |
2021年 | +31.44% |
2020年 | +33.67% |
2019年 | +48.36% |
2018年 | ▲10.72% |
2017年 | +39.52% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
UBS 次世代テクノロジー・ファンドに投資を検討するのであれば、同じように米国株式に投資をしているインデックスファンドと運用実績を比較しておいて損はありません。
今回は、UBS 次世代テクノロジー・ファンドと同じく北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2021年まではUBS 次世代テクノロジー・ファンドのほうが上回っていましたが、2022年以降はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に逆転されています。
テック系銘柄中心に大幅下落していることもあり、広く分散投資できているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に優位性があったということです。
UBS次世代 | Slim 米国株式 | |
1年 | +33.11% | +23.68% |
3年 | +15.75% | +23.72% |
5年 | +15.08% | +15.80% |
10年 | +17.51% | - |
※2023年10月時点
より長期のパフォーマンスで見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが優れており、無難に投資をしていくのであれば、高いコストを支払わなくていいeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投資をしたほうがいいということですね。
類似ファンドとの利回り比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間で見ると、2021年まではUBS 次世代テクノロジー・ファンドがパフォーマンスで大きく上回っていることがわかります。ただ2022年以降はテック系銘柄が軒並み大きく下落していることもあり、分散投資されている米国成長株投信Bに軍配が上がりました。
中長期でみても、米国成長株投信Bのほうが優れたパフォーマンスとなっているので、どちらかを選ぶとしたら、米国成長株投信Bが無難な選択です。
UBS次世代 | 米国成長株投信B | |
1年 | +33.11% | +25.71% |
3年 | +15.75% | +18.31% |
5年 | +15.08% | +16.72% |
10年 | +17.51% | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率はどれくらい?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それではUBS 次世代テクノロジー・ファンドの最大下落率を見ていきましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.22% |
3カ月 | ▲21.68% |
6カ月 | ▲25.16% |
12カ月 | ▲30.49% |
※2023年10月時点
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは2022年01月~2022年12月までの1年間で▲30.49%の下落をしました。
ただ、リーマンショック後に組成されたファンドということもあり、50%近い下落はまだ経験していません。
ファンドの運用においては、大きく下落することもありますが、長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドは資金が流入超過している月もありますが、流出超過している月も多く、思った以上に評判は良くないです。
トータルで見れば決して悪いパフォーマンスではありませんが、インデックスファンドにパフォーマンスで負けているので仕方がない結果と言えますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
UBS 次世代テクノロジー・ファンドはNISAだけ対応していますので、うまくNISAを活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
○ | × |
※2023年10月時点
UBS 次世代テクノロジー・ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
2022年まではテック系銘柄が好調だったこともあり、大きく他のファンドを突き放した形でしたが、2022年以降はS&P500にもパフォーマンスで負けてしまっています。
直近はとくにインデックスファンドが手堅く強い印象ですが、少なくともインデックスファンドに短期でも長期でもいいので、パフォーマンスで上回っているファンドでなければ、投資をするメリットがありません。
これはとても良い教訓なのですが、上がり過ぎたファンドというのは実は翌年や翌々年に大きく下落することがあり、結果的にコツコツ上昇しているインデックスファンドのほうがアウトパフォームするということが多々あります。
もちろん、ポートフォリオの一部にアクティブファンドを組み入れることはぜひやってほしいと思いますが、単年のパフォーマンスだけを見て投資をすると痛い目を見ますので、中長期で高いパフォーマンスを残しているファンドに投資をしていきましょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点