大和アセットマネジメントから国際優良企業への厳選投資とリスクコントロールの徹底を目的とした世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)が登場しました。
リスクコントロールの徹底による下落リスクの抑制をアピールしていますが、果たしてどの程度下落のコントロールができているのでしょうか。
今日は、この世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)について独自の目線で徹底分析していきます。
「世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)って投資対象としてどうなの?」
「世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)って持ってて大丈夫なの?」
「世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の基本情報
投資対象は?
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の投資対象は、日本を除く世界の株式です。
株式の運用はオーストラリアを拠点とするマゼラン・アセット・マネジメントが行います。相変わらずですが、ファンド・オブ・ファンズ形式での運用になるので、信託報酬はかなり割高になっています。
銘柄選定はトップダウン・アプローチとボトムアップアプローチを併用し、最終的に20~40銘柄に絞り込みます。
※引用:販売資料
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の国別の投資比率を見てみると、70%がアメリカ、次いでフランス、イギリスとなっています。
※引用:マンスリーレポート
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の運用の特徴として挙げられているのが、キャッシュを機動的に活用したリスクコントロールです。
以下のようにキャッシュポジションを最大20%まで保有することで、株価が大きく下がったタイミングであれば、株を買う資金に回し、下落が予想される場面ではキャッシュポジションを高めて、下落幅を押さえます。
※引用:販売資料
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の純資産総額は現在120億円程度です。一時と比べると、純資産が減っていますが、規模としては問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の実質コストは1.97%で、ファンド・オブ・ファンズ形式を採用していることもあり、かなり割高な水準になっています。
マゼランに支払うコストだけでも0.825%ありますので、運用の非効率が目立ちますね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.9525%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.97% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の評価分析
基準価額をどう見る?
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の基準価額は分配金を出していることもあり、あまり大きく上昇していません。
ただ、分配金を再投資した場合の基準価額(青線)を見ると、3年間で着実に上昇しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは+19.17%となっています。3年平均利回りも10%台なので、悪くないですね。
ただ、この段階ではまだ良し悪しが判断つきません。少なくとも他のファンドのパフォーマンスを比較をする必要がありますね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +19.17% |
3年 | +11.31% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)は、日本を除くグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の直近1年と3年平均利回りのランキングは、下位30%に入っており、お世辞にも高いパフォーマンスとは言えません。
上位●% | |
1年 | 76% |
3年 | 92% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
続いて、世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の年別のパフォーマンスを見ていきます。
年別の利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2022年は多くの株式ファンドが下落する中で、1桁のマイナスで済んでいるのは大きいですね。
年間利回り | |
2023年 | +19.98%(1-9月) |
2022年 | ▲9.25% |
2021年 | +24.91% |
2020年 | +15.69%(4-12月) |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)に投資をするのであれば、最低限、低コストのインデックスファンドよりパフォーマンスが優れていなければ、投資をする価値がありません。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)は日本株を除く世界の株式に投資をしますので、同じように日本を除く世界の株式に分散投資ができるeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)のほうがパフォーマンスで上回っています。
インデックスファンドにこうも大きく差をつけられると、高いコストを支払ってまで投資をしようとは思えません。
世界セレクティブ | slim 全世界 | |
1年 | +19.17% | +23.40% |
3年 | +11.31% | +20.57% |
5年 | - | +12.84% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドへ投資をするのであれば、アクティブファンドの中でも優秀なファンドに投資をしたいものです。
そこで、今回は世界の株式に投資ができる大和住銀 DC海外株式アクティブファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドのほうが大きく上回っています。
海外のアクティブファンドに投資をするにしても、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドくらいパフォーマンスの優れたファンドに投資をしたいものです。
世界セレクティブ | 大和住銀DC海外 | |
1年 | +19.17% | +24.67% |
3年 | +11.31% | +13.25% |
5年 | - | +13.76% |
10年 | - | +14.90% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが、このファンドはどの程度下落するかでしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際にどの程度下落したかを把握することで事前に心構えができます。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の最大下落率は2020年3月の1か月で、10%弱となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲9.40% |
3カ月 | ▲5.39% |
6カ月 | ▲6.74% |
12カ月 | ▲9.25% |
※2023年10月時点
思った以上に下落幅は抑えられていることがわかりますね。
ファンドの運用においては、大きく下落することもありますが、長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
それでは、世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)は2021年以降、資金の流出が続いており、あまり評判はよくありません。このパフォーマンスでは仕方ないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)のような世界中の株式に投資ができるアクティブファンドというのは何本もあります。
細かい運用戦略に違いはあるものの、大事なのは結果であり、世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)のように、リスクを抑えた運用を謳っていても、リターンが伸びないのであれば、投資する価値がありません。
最低限、インデックスファンドをアウトパフォームするくらいの利回りで運用ができることは条件だと思いますが、他にも優秀なアクティブファンドが多数ある中で、あえて、世界セレクティブ株式オープン(年2回決算型)を選ぶ理由が今のところ、見当たりません。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点