2020年は今まで伸び悩んでいたモビリティ関連のファンドが
大きく上昇しました。
モビリティファンドというと、どこも全く同じように見える
のですが、組み入れ銘柄を見ていくと、それぞれこだわりを
持ってファンド設定をしていることがわかります。
今日は、グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドは
果たして投資価値があるのか、私が独自の目線で分析、評価
していきます。
「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド『グローバルMaaS』の基本情報
投資対象は?
まず投資対象は、モビリティ・サービス関連企業です。
MaaSというのはMobility as a Serviceの略で、移動手段と
して、自動車などモノを提供する企業や、ライドシェア
リングのようななサービスを提供する企業などを含んで
います。
具体的にイメージができるようにファンドの中身を見て
いきましょう。国別で見ると、アメリカが約60%強、
次いで中国が10%程度となっています。
※引用:マンスリーレポート
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドは現在、
44銘柄で構成されており、その上位銘柄を見てみましょう。
1位のテスラは、テスラネットワークと呼ばれる自動運転
ライドシェアサービスを運営する計画を進めています。
2020年にモビリティ関連ファンドが大きく上昇できた
主たる要因はこのテスラ株の急騰によるところが大きい
でしょう。
2位のトリンブルは米国の計測機器メーカーです。
ソフトウェア、データ、センサーを組み合わせた
ドローンプラットフォームを提供しています。
3位のユニティ・ソフトウェアは米国のソフトウェア企業
です。ゲームエンジン企業の最大手でもあります。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
実際の運用においては、アーク・インベストメント・マネ
ジメントが投資助言を行っています。
アーク社は2014年に設立されたニューヨークの運用会社で、
破壊的イノベーションを発掘するには、従来の伝統的なリサ
ーチ手法だけでは不十分と考え、ユニークなプロセスで調査
を行っています。
一般的な財務諸表の分析や経営者への面談だけではなく、
SNSなどで人脈を構築した大学教授、企業家などの外部の
専門家と共同で研究を行い、そのテーマについての論文を
発表します。
さらにその論文を一般公開し、広く視聴者からのフィード
バックをうけ、投資テーマについての細部まで理解をするのです。
そのため、アーク社では、「金融」と「テクノロジー」の
融合を目的に、両業界の出身者からなるアナリストチームを
擁しており、アナリストの大半がシリコンバレー出身という
非常に珍しいチーム編成になっています。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄
を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく
減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期
せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。
2018~2020年ごろまでは純資産は減少傾向にありましたが、
パフォーマンス向上に伴い、純資産は800億円ちかくまで
増加してきています。
ファンドの規模として十分な大きさです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの実質コストは
2.068%です。
実質コストが2%を超えるようなファンドというのは、相当
パフォーマンスが優れていない限り、投資してはいけません。
購入時手数料もしっかり3%かかりますので、うかつに
投資をしないようにしてください。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.925%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.068%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド『グローバルMaaS』の評価分析
基準価格をどう見る?
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの基準価額は
コロナショック前まではパッとしませんでした。
しかし、コロナショック以降、基準価額が急騰しており、
他ファンドと比べても、この上昇幅は異常なレベルです。
ただ、2021年に入り、やはり伸び悩んでいますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの直近1年間の
利回りは45.01%となっています。
3年平均利回りも29.24%と異常な値となっており、タイミングよく
投資をしていた人は、大きく資産を増やすことができたでしょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 45.01% |
3年 | 29.24% |
5年 | - |
10年 | - |
※2021年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドは、
日本株を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドは
1年、3年平均利回りともに、上位10%に入っており、
この1年間で大きな飛躍を見せました。
上位●% | |
1年 | 10% |
3年 | 3% |
5年 | - |
10年 | - |
※2021年9月時点
年別の運用利回りは?
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの年別の
パフォーマンスを見てみましょう。
新規設定時はタイミングも悪く2桁のマイナスでしたが、
2019年、2020年は30%以上の運用利回りとなっており、
モビリティ関連株の注目度合いがわかります。
ただ、2020年に大きく上昇しすぎたことで、2021年の
パフォーマンスは奮っていません。
年間利回り | |
2021年 | +21.01%(1-6月) |
2020年 | +78.10% |
2019年 | +30.79% |
2018年 | ▲10.48%(4-12月) |
※2021年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドへ投資を
するのであれば、低コストのインデックスファンドとパフォ
ーマンスを比較してからでも遅くはありません。
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドは全世界の
株式に投資をしていますので、同じく全世界の株式に分散投資
ができるeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)と
比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
コロナショック前まではeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
のほうがパフォーマンスで上回っていましたが、コロナショック以降は
差が開く一方です。
単純に比較をすれば、グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド
への投資が賢明だと考えるわけですが、今回のこの急騰ぶりを見ると、
果たして今から波に乗っても遅いのではないかという不安も残ります。
グローバル・モビリティ | slim 全世界株式 | |
1年 | 45.01% | 33.65% |
3年 | 29.24% | - |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2021年9月時点
類似ファンドとの利回り比較
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドへの投資を
検討するにあたり、それ以外のモビリティ関連ファンドや
アクティブファンドをパフォーマンスを比較してからでも
遅くありません。
今回は、SMTAMのモビリティ関連世界株式戦略ファンドと
岡三アセットの次世代モビリティオープンと比較をしていきます。
また世界の優良株に分散投資をするアクティブファンドである
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド『未来の世界』と
比較をしていきます。
※引用:モーニングスター
コロナショック前までは、グローバル・ハイクオリティ成長株ファンドが
大きくリードしていましたが、コロナショック後は、グローバル・モビリティ
サービス株式が突き放しました。
他のモビリティ関連ファンドはパッとしませんね。
少なくともモビリティ関連のファンドに投資をするのであれば、
このファンドで間違いなさそうです。
グローバル・モビリティ | G・ハイクオリティ | |
1年 | 45.01% | 20.94% |
3年 | 29.24% | 21.76% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2021年9月時点
最大下落率は?
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドに投資をする前に、
最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは
非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく
下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではグローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの
最大下落率を見てみましょう。
最大下落率は3カ月で▲22.62%となっています。まだ運用
期間が短いので、そこまで大きな下落はおきていません。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまう
かもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解して
おけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.67% |
3カ月 | ▲22.62% |
6カ月 | ▲19.12% |
12カ月 | ▲17.87% |
※2021年9月時点
評判はどう?
それでは、グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドの評判は
どうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入
を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪く
なっていれば、資金が流出超過になります。
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドはこれだけ
パフォーマンスが好調であるにもかかわらず、2020年は資金の
流出が続いていました。
2020年後半に入り、ようやく流入超過となり、評判が戻って
きたような形です。
今のパフォーマンスであれば、当面は資金流入が続きそうです。
※引用:モーニングスター
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド『グローバルMaaS』の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしたでしょうか?
2020年以降のパフォーマンスを見ると、目移りしてしまうのは
よくわかります。
ただ、今まではそこそこの成績だったにもかかわらず、
1年間で急騰したファンドというのは注意が必要です。
というのも、組み入れられている銘柄にこれ以上の
上昇余地がなく(割高感あり)、今後は厳しい展開に
なる可能性があるからです。
自動運転関連銘柄は今後期待できるテーマでもあるので、
さらに上昇していく可能性もありますが、今までの
傾向を考えると、少し不安が残ります。
とはいえ、モビリティ関連ファンドの中で、明らかに
高いパフォーマンスとなっているのはアークインベスト
の投資助言によるところが大きいです。
アークが投資助言に入っているファンドは、他の
ファンドでも絶好調なので、強気に攻めるのもよいでしょう。
少なくともモビリティ関連のファンドに投資をするのであれば、
グローバル・モビリティ・サービス株式ファンドに投資を
するのが間違いないでしょう。
2021年は2020年の反動を受けるのか、それともさらに伸びて
いくのか注目していきたいと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点