コロナショック前後から大きな注目が集まっているのがワクチン開発や医薬品開発を行う世界のバイオ医薬品関連企業です。
今日はその中でも分配金を多く払い出しており、近年非常に人気が出てきているピクテ投信のピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)を分析していきます。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は為替ヘッジありのAコースと為替ヘッジなしのBコースがありますが、純資産規模の大きいBコースを中心に分析していきます。
「ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)って投資対象としてどうなの?」
「ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)って持ってて大丈夫なの?」
「ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)為替ヘッジなしコースの基本情報
投資対象は?
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の投資対象は、世界のバイオ医薬品関連企業の株式です。
バイオ医薬品は病気の原因に直接働きかけて治療を行えるなど一般的にはない強みを持っています。
それ以外にも①体の悪いところにピンポイントで作用するため副作用が少ない②生物や自然の力を活用するので、体に優しいといったメリットもあります。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の国別の構成比を見ていくと、90%近くは米国株となっており、実質米国株ファンドと言っても差し支えないですね。
※引用:マンスリーレポート
現在のピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の組入銘柄数は約60銘柄となっています。組入れ銘柄の種類を見ていくと、バイオテクノロジーの比率が80%となっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなったり、償還されてしまうこともあるので、注意が必要です。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)はコロナショック以降、純資産を減らしていたのですが、直近で恐ろしいほどの増加を見せており、現在は2070億くらいの規模となっています。分配金利回りの高さが投資家の魅力を引き付けているということでしょう。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の実質コストは2.13%とかなり割高となっています。購入時手数料も高いので、なかなか投資しづらいファンドであることは間違いありませんね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.09%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.13%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)為替ヘッジなしコースの評価分析
基準価額をどう見る?
続いて、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の基準価額の推移を見てみましょう。3年間ほぼ12,000円近辺をうろうろしていることがわかります。
一方で、分配金を再投資した場合の基準価額(青線)は3年間で大きく上昇していますので、ファンドの運用益を分配金に回していることが分かります。後述しますが、なかなか嬉しい分配金の金額になっていますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは+9.44%となっています。期間によって平均利回りに大きな差があることから、ファンドの運用に調子が良いときと悪いときでかなりムラがあることがわかります。
どちらにしても、この時点でいいか悪いか判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +9.44% |
3年 | +14.33% |
5年 | +6.01% |
10年 | +9.73% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は北米株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は、どの期間で見ても、平均以下となっています。逆に言えば、他にもっと優れたファンドが多数あることが分かります。この段階で、利回りだけで選ぶのであれば、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は少し選択肢から外れてきます。
上位●% | |
1年 | 86% |
3年 | 76% |
5年 | 90% |
10年 | 70% |
※2023年10月時点
年別運用パフォーマンスは?
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2018年は2桁マイナスとなっていますが、他の年ではしっかりプラスを続けており、パッと見ると悪くないように思えます。
ただ、先ほど示した通り、同カテゴリー内で見ると、大した順位にいませんので、比較することを絶対忘れないでください。
年間利回り | |
2023年 | +3.69%(1-9月) |
2022年 | +12.75% |
2021年 | +20.24% |
2020年 | +3.93% |
2019年 | +17.03% |
2018年 | ▲11.87% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)への投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は、米国株に投資をしていきますので、米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が勝っています。。
基準価額の値動きを見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが安定して上昇を続けていますし、あえて高いコストを支払ってピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)に投資をするメリットを感じませんね。
ピクテ・バイオ | Slim 米国株式 | |
1年 | +9.44% | +23.68% |
3年 | +14.33% | +23.72% |
5年 | +6.01% | +15.80% |
10年 | +9.73% | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)と同じように米国株に投資をしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間において、ほぼ全期間で、米国成長株投信が大きくリードしています。
米国成長株投信は相当優秀なファンドですので、このファンドに勝つのは難しいですが、あえてバイオ医薬品というテーマ株に絞って高い利回りを狙わずとも、米国成長株投信に投資をしておけば十分と言えます。
より長期のパフォーマンスを見ても、大きく差が開いていますので、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)を選択する理由がありません。
ピクテ・バイオ | 米国成長株B | |
1年 | +9.44% | +25.71% |
3年 | +14.33% | +18.31% |
5年 | +6.01% | +16.72% |
10年 | +9.73% | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率はどれくらい?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.96% |
3カ月 | ▲38.42% |
6カ月 | ▲36.21% |
12カ月 | ▲36.87% |
※2023年10月時点
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は2008年9月~2008年11月の3カ月で最大38.42%下落しました。リーマンショックでは50%近い下落をするファンドも多数出る中で、ディフェンシブ銘柄である医療・医薬品セクターはやはり強いです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の推移は?
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)では、株式ファンドには珍しく毎月分配金を払い出しています。
年々分配金の金額は減ってきているのですが、年間で15%程度の分配金の支払いが行われています。
ファンドのパフォーマンス以上の払い出しになってはいますが、分配金の金額をファンドのパフォーマンスに合わせて変更しているので、タコ足配当にはほとんどなっていないですね。
分配金 | |
2023年 | 1,800円(見込み) |
2022年 | 1,800円 |
2021年 | 1,800円 |
2020年 | 1,800円 |
2019年 | 2,250円 |
2018年 | 2,400円 |
※2023年10月時点
評判はどう?
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)を購入している人が多いということなので、評判が良くなっているということです。
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)は2020~2021年は資金が流出しましたが、2022年に入り、また流入額が増えてきており、評判が良くなってきていることが分かります。分配金利回りが高いので、投資家が集まってきているのでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
グローバルAIファンドはNISAでの取り扱いがありますので、この制度をうまく使っていきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)為替ヘッジなしコースの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
バイオ医薬品という分野はもう何年も前から注目を集めている分野です。そして、高齢化が進む日本では間違いなくニーズがさらに高まっていく分野でもあります。
毎月分配金が出るという意味では、株式ファンドは値動きは大きくなりますが、REIT系の毎月分配型のタコ足配当ファンドよりはよほど健全な分配が行われていますので、分配金をどうしても受け取りたいという人は、REITよりもこちらのほうがまだマシと言えますね。
ただ、残念ながら、パフォーマンスと言う観点で見ると、eMAXIS Slim米国株式にパフォーマンスで大きく負けてしまっており、あえて高いコストを支払って投資をするメリットはありません。
また北米カテゴリー内では平均的なパフォーマンスなので、米国成長株投信のようなより優れたアクティブファンドが存在するので、あえてパフォーマンスの悪いピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月分配型)に投資をするメリットも感じません。
もし分配金を受け取りたいのであれば、米国成長株投信のDコースに投資をしたほうが分配金も得られますし、運用益も得られますよ。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点