コロナ明けのインバウンド需要を見越して多くの投資家が注目しているのが、三井住友トラスト・アセットマネジメントのインバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』です。
豊富な自然・文化資源、観光インフラの利便性に対する高い評価から、日本は観光立国として世界的な評価が高まっています。
またコロナの影響で大幅に減っていた旅行客が今後、回復するだけでなく、2030年には訪日外国人を6000万人にするといった目標も政府が掲げています。
果たして、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』とはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』って投資対象としてどうなの?」
「インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』って持ってて大丈夫なの?」
「インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』の基本情報
投資対象は?
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の投資対象は、日本国内の株式です。
日本を訪れる外国人によって生み出される需要(インバウンド需要)及びインバウンド需要から派生的に生じる需要により収益の増加が期待される企業に投資をします。
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の現在の組入銘柄数は65銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の純資産総額は、現在約835億円です。
コロナ前までは純資産総額も微々たるものでしたが、2022年以降純資産が急増しており、人気の高さが伺えます。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の実質コストは1.742%となっており、インデックスファンドと比べると、かなり割高です。何より購入時手数料がしっかり3.3%かかるのもいまいちですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.705%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.742%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』の評価分析
基準価額をどう見る?
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の基準価額を見てみましょう。
2021年~2022年にかけては横這いでしたが、2023年は大きく上昇しています。ただ、他のファンドと比べて大きく上昇しているかというとそうでもないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは15.13%となっています。一方、5年平均利回りは3%しかないので、運用が好調な時と不調な時で波があるようです。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +15.13% |
3年 | +9.51% |
5年 | +3.43% |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』は、国内中型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』は、平均以下のランキングですので、他にもっと優れたファンドがあるとわかります。
上位●% | |
1年 | 71% |
3年 | 24% |
5年 | 65% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
一般的な日本株ファンドとは違う値動きをしているようですが、他のファンドと比べてプラスの年のリターンが小さいようです。
年間利回り | |
2023年 | +14.21%(1-9月) |
2022年 | +5.65% |
2021年 | ▲0.90% |
2020年 | +4.71% |
2019年 | +14.30% |
2018年 | ▲17.77% |
2017年 | +28.77% |
2016年 | ▲10.21% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』に投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』と日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ 日経225インデックスファンドのほうがパフォーマンスで上回りました。
また、5年平均利回りも、ニッセイ 日経225インデックスファンドのパフォーマンスが上回っており、これでは高いコストを支払ってまで投資をする気になれません。
年平均利回り | インバウンド関連日本株ファンド | ニッセイ日経 225 |
1年 | +15.13% | +25.03% |
3年 | +9.51% | +13.02% |
5年 | +3.43% | +7.56% |
10年 | - | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』に投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、国内小型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンスを残している東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』がパフォーマンスで上回っています。
しかし、5年、10年平均利回りでは、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンのほうが優れており、どちらを取るかと言えば、長期で高いパフォーマンスのファンドのほうが安心できますね。
年平均利回り | インバウンド関連日本株ファンド | 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式 |
1年 | +15.13% | +6.88% |
3年 | +9.51% | +1.77% |
5年 | +3.43% | +6.18% |
10年 | - | +15.63% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.12% |
3カ月 | ▲19.20% |
6カ月 | ▲17.32% |
12カ月 | ▲17.77% |
※2023年10月時点
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の最大下落率は2020年1月~2020年3月で▲19.20%となっています。まだリーマンショック級の大相場を経験していないので、この程度の下落で済んでいますね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』の評判を見てみましょう。
2022年以降の流入額が大きすぎて、それまでの流出入がほとんど見えません。ただ、それくらい大きい金額が流入しており、評判はかなり良くなっていると言えます。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』はNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
インバウンド関連日本株ファンド 『愛称:ビジット・ジャパン』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
資金流入の状況を見てもわかる通り、ここ1年の資金流入額は異常なことになっています。たしかに、ここから数年のインバウンド需要は期待がでいるので、投資をしたいと思う人が多くいても不思議はありません。
ですので、短期的な目線で、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』に投資をするのは、選択肢の1つになりえますが、あくまでも短期の勝負だと思ってください。
これまで見てきたように、インバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』はインデックスファンドにもパフォーマンスで負けてしまっており、普通に考えれば、高いコストを支払ってまで投資をするようなアクティブファンドではありません。
またインバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』は日経225やTOPIXに組み入れられている銘柄もありますので、インデックスファンドでも間接的には、インバウンド需要を見越した投資ができます。
私個人としては、無理にインバウンド関連日本株ファンド 『ビジット・ジャパン』に投資をせずとも、日経225に連動するニッセイ 日経平均インデックスファンドやeMAXIS Slim国内株式(日経平均)あたりに投資をしておけば十分だと思っています。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点