高いパフォーマンスを出しているファンドが多い国内小型株ファンドの中で、設定以来、非常に優れた結果を残しているのが、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンです。
旧モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーも受賞しており、投資家からの評判だけでなく、プロの目から見ても、とても評価が高くなっています。
今日は、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンについて独自目線で徹底分析していきます。
こんなことがわかる
- 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは投資対象として、あり?なし?
- 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンより良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの独自評価と分析
投資対象は?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの投資対象は、株式のうち経営者が実質的に主要な株主である企業です。
経営者が実質的な株主である企業は、経営者のリーダーシップによる「長期的な株主利益の追求」「経営理念・哲学の貫徹」「迅速な意思決定」等の特徴をもっていると考えられます。
こういった経営者の定性分析に加え、企業の成長性や収益性に着目して割安株に投資をしていきます。
組入銘柄数は79銘柄となっており、内需関連企業を中心に銘柄を選定しているのが特徴です。
※引用:マンスリーレポート
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの組入れ上位銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。早期償還のリスクもありますね。
また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。最低でも50億円、余裕を持って100億円はほしいところです。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの純資産総額は、2013年以降10~20億円程度しかありませんでしたが、2018年以降急激に純資産を伸ばしています。現在では、620億円をこえており、規模としては全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの実質コストは1.656%と割高です。
ただし、後述しますが、手数料が高くてもパフォーマンスが優れているのであれば投資価値は十分ありますので、コストだけに注目してもあまり意味はありません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.584%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.656%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
基準価額をどう見る?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの基準価額は、2022年に大きく下落しており、日経平均が40,000円を突破する中で、その恩恵を受けきれていません。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの利回りはどうでしょうか?
平均利回り | |
1年 | +7.89% |
3年 | +1.81% |
5年 | +9.33% |
10年 | +15.12% |
※2024年9月時点
直近1年間の利回りは+7.89%となっています。10年平均利回りだけは15%と異常に高いパフォーマンスです。日本の中小型株ファンドはここ3年程度は相当伸び悩んでいますね。
ただ、この時点ではパフォーマンスの良し悪しを判断できませんので、他のファンドと必ず比較をしてから投資判断するようにしてください。
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは国内小型株の成長カテゴリーに属しています。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、直近10年以外は平均以下となっていますが、10年平均利回りは上位5%に入っており、かなり優秀です。
アクティブファンドは長期でインデックスファンドを上回る運用なので、長期のパフォーマンスは大事ですが、短期のパフォーマンスが平均以下というのはなかなか厳しいです。
上位●% | |
1年 | 77% |
3年 | 68% |
5年 | 61% |
10年 | 3% |
※2024年9月時点
年別のパフォーマンスは?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは、ここ10年で、2022年以外はすべてプラスという素晴らしい結果を残しています。マイナスの年がほとんどないというのも、投資をする上ではとても安心材料になりますね。
年間利回り | |
2024年 | +12.88%(1-6月) |
2023年 | +11.56% |
2022年 | ▲11.97% |
2021年 | +5.70% |
2020年 | +15.45% |
2019年 | +33.95% |
2018年 | +5.76% |
2017年 | +55.65% |
2016年 | +12.01% |
2015年 | +13.62% |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、事前にインデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
まずは日本を代表する指数である日経225に連動するニッセイ日経225インデックスファンドと比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近の3年間では、ほぼ全期間において、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンはニッセイ 日経225インデックスファンドに負けてしまっています。
ただ、アクティブファンドは一時的にインデックスファンドよりもパフォーマンスで下回ることも多いので、5年、10年の長期でインデックスファンドを上回っているかがとても重要となります。
より長期のパフォーマンスはどうでしょうか。
年平均利回り | ジャパン・オーナーズ | ニッセイ 日経225 |
1年 | +7.89% | +20.41% |
3年 | +1.81% | +13.16% |
5年 | +9.33% | +15.19% |
10年 | +15.12% | +11.42% |
※2024年9月時点
10年平均利回りだけは東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンがかなり大きくリードしていますね。
ただ、直近のパフォーマンスが優れないため、安定して利益を出すことができている日経225のインデックスファンドに投資をするというのが無難な選択肢ではあると思います。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、国内大型株カテゴリーで非常に優れた成果を出しているスパークスの新・国際優良日本株ファンド『厳選投資』と比較を行いました。
※引用:ウエルスアドバイザー
全期間において、厳選投資のほうがパフォーマンスがよくなっています。
中長期のパフォーマンスで見ると、10年平均だけわずかに東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンが勝っています。
年平均利回り | ジャパン・オーナーズ | スパークス厳選投資 |
1年 | +7.89% | +32.12% |
3年 | +1.81% | +11.43% |
5年 | +9.33% | +15.94% |
10年 | +15.12% | +14.39% |
※2024年9月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.27% |
3カ月 | ▲19.79% |
6カ月 | ▲15.96% |
12カ月 | ▲16.84% |
※2024年9月時点
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン の最大下落率は、2020年1月~2020年3月の3カ月間で最大19.79%下落しています。
やはりコロナショックの影響は大きかったようですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金は?
分配金を出すくらいであれば、再投資に回してほしいところですが、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンでは年2回分配金を出しています。
パフォーマンスに対してはわずかな配当ですので、今後も配当の継続に問題はなさそうです。
また、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2024年 | 700円 |
2023年 | 700円 |
2022年 | 700円 |
2021年 | 650円 |
2020年 | 600円 |
2019年 | 500円 |
2018年 | 450円 |
2017年 | 400円 |
2016年 | 400円 |
※2024年9月時点
評判はどう?
資金の流出入を見るのはそのファンドの評判を確認するために有効な手段です。
資金が多く入っていれば人気があるファンドですし、流出が続いているようであれば、評判が悪いファンドと言えます。
それでは、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンはどうでしょうか?
2023年以降、流出超過に転じており、評判はあまりよくありません。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
残念ながら、iDeCoでは対応していませんので、投資をするならNISAを活用しましょう。
NISA | iDeCo |
○ | × |
※2024年9月時点
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの個人的評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは長期のパフォーマンスにおいて、国内小型株という優秀な結果を残しているファンドが多い中でもトップクラスの成績を残しています。
何より注目すべきは、比較的値動きが大きい中小型株へ投資をしながらも、景気動向に左右されにくく、個別要因により持続的に成長可能な内需関連企業を選定することで、安定したプラスのリターンを出しているということです。
直近では、日経225に連動するインデックスファンドにパフォーマンスで負けているため、「どうなの?」と思っている人もいるかもしれません。
ただアクティブファンドというのは、基本的にインデックスファンドよりもパフォーマンスのブレが大きく、インデックスファンドを上回るときもあれば、下回るときもあります。
なので、より安定したリターンを望むのであれば、無難にインデックスファンドへの投資がおすすめではあります。
一方で、全部インデックスファンドに投資をするだけでは面白くないと考える私と同じような人であれば、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンのような優秀なアクティブファンドへの投資を検討するのもいいと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点