ここ数年で非常に注目されているのがインド株式ファンドです。パフォーマンスも非常に好調であることから多くの資金が集まってきています。
今日はその中でも、イーストスプリングのイーストスプリング・インド株式オープンについて徹底分析していきます。
「イーストスプリング・インド株式オープンって投資対象としてどうなの?」
「イーストスプリング・インド株式オープンって持ってて大丈夫なの?」
「イーストスプリング・インド株式オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
イーストスプリング・インド株式オープンの基本情報
なぜインドが注目されているのか
まず、イーストスプリング・インド株式オープンについて具体的に分析していく前に、なぜ今、インドが注目されているのかを説明します。
まずインドの名目GDPは2027年には、日本、ドイツを抜き、世界第3位の経済大国になると予想されています。
※引用:販売資料
また経済成長には、労働人口の拡大が不可欠ですが、インドでは2050年頃まで豊富な労働力が経済成長を支えると予想されています。
日本や中国も人口ボーナス(15歳~65歳が総人口の3分の2以上を占める)期間に大きく、経済成長してきたことを考えると、インド市場もかなり有望な市場と期待が持てます。
※引用:販売資料
このような将来性から、インド株式の主要な指数であるSENSEX指数も大きく上昇を続けており、今後の成長に更なる期待が持てるというわけです。
※引用:販売資料
投資対象は?
イーストスプリング・インド株式オープンの投資対象は、インドの株式です。
業種別の構成比率をいると、銀行の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
イーストスプリング・インド株式オープンの現在の組入銘柄数は45銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、イーストスプリング・インド株式オープンの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
イーストスプリング・インド株式オープンの純資産総額は、現在約1455億円です。もともと500億~1500億円の間を推移していますが、直近でパフォーマンスが好調であることもあり、純資産が大きく伸びています。
規模としても問題ないですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
イーストスプリング・インド株式オープンの実質コストは1.952%となっており、かなり割高です。購入時手数料も3.85%と異常に高くなっているので初年度は6%近いコストがかかることになります。
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.9497%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.952%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
イーストスプリング・インド株式オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
イーストスプリング・インド株式オープンの基準価額を見てみましょう。
2021年、2022年、2023年とそれなりに大きく上下に変動しながら、基準価額を大きく伸ばしています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、イーストスプリング・インド株式オープンの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは16.86%となっています。どの期間においても、10%を超えており、インド株ファンドの好調さが伺えますね。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +16.86% |
3年 | +28.52% |
5年 | +13.58% |
10年 | +12.82% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
イーストスプリング・インド株式オープンは、国際株式・インドカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
イーストスプリング・インド株式オープンは、かなり利回りは高いように見えましたが、実態はどの期間においても平均以下の水準でした。
上位●% | |
1年 | 63% |
3年 | 54% |
5年 | 66% |
10年 | 83% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
イーストスプリング・インド株式オープンの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
平均利回りでは10%になっていますが、実際は30%や40%のプラスの年が数年に1回あり、その大きなプラスで全体の利回りを底上げしていることがわかります。
年間利回り | |
2023年 | +21.87%(1-9月) |
2022年 | +9.66% |
2021年 | +36.45% |
2020年 | +5.81% |
2019年 | +0.55% |
2018年 | ▲10.71% |
2017年 | +28.72% |
2016年 | ▲0.26% |
2015年 | ▲9.57% |
2014年 | +42.59% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
イーストスプリング・インド株式オープンに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、イーストスプリング・インド株式オープンと新興国株式の代表的なインデックスファンドであるeMAXIS Slim新興国株式インデックスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、イーストスプリング・インド株式オープンが大きく上抜けています。一方、eMAXIS Slim新興国株式インデックスはここ3年間伸び悩んでいますね。
5年、10年の期間で比較をしても、イーストスプリング・インド株式オープンは大きく上回っており、これであれば、高いコストを支払って、イーストスプリング・インド株式オープンに投資をする価値があると言えます。
年平均利回り | イーストS・インド株式オープン | slim 新興国株式インデックス |
1年 | +16.86% | +14.15% |
3年 | +28.52% | +10.01% |
5年 | +13.58% | +5.60% |
10年 | +12.82% | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
イーストスプリング・インド株式オープンに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、インド株ファンドの中でも、パフォーマンスが好調な高成長インド・中型株式ファンドと比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、高成長インド・中型株式ファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。
5年、10年平均利回りで比較をしても、高成長インド・中型株式ファンドのほうが優れているので、高いコストを支払って、インド株式ファンドに投資をするのであれば、高成長インド・中型株式ファンドに投資をしたほうが良いですね。
年平均利回り | イーストS・インド株式オープン | 高成長インド・中型株式 |
1年 | +16.86% | +17.28% |
3年 | +28.52% | +31.85% |
5年 | +13.58% | +16.58% |
10年 | +12.82% | +18.58% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、イーストスプリング・インド株式オープンの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲33.70% |
3カ月 | ▲47.59% |
6カ月 | ▲57.35% |
12カ月 | ▲67.98% |
※2023年10月時点
イーストスプリング・インド株式オープンの最大下落率は2007年11月~2008年10月で▲67.98%となっています。高いリターンが期待できる一方で、インド株式のこの下落幅の大きさは正直怖いですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
イーストスプリング・インド株式オープンの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、イーストスプリング・インド株式オープンの評判を見てみましょう。
2022年までは毎月資金が流出超過となっており、お世辞にも評判はよくありませんでした。しかし、2022年、2023年とパフォーマンスが好調であることも相まって、評判は非常によくなってきています。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
イーストスプリング・インド株式オープンはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
イーストスプリング・インド株式オープンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
まず、インドという将来性を考えると、インド株式に投資をするという考え方は悪くありません。
ただし、インド株式は、大きなリターンが期待できる一方で、大きな下落も起こり得ます。その点は理解した上で、大きな下落が来ても慌てふためいてすぐに売却しないようにしてください。
イーストスプリング・インド株式オープンは新興国株式の代表的なインデックスファンドであるeMAXIS Slim新興国株式インデックスと比較をしても、パフォーマンスではかなり差をつけているので、投資をする価値があると言えます。
ただ、高いコストを支払うのであれば、イーストスプリング・インド株式オープンも悪くはないですが、より高い利回りで運用できている高成長インド・中型株式ファンドへの投資を検討してみても良いかもしれません。
とにかく値動きが大きいファンドですので、それなりの覚悟を持って投資をするようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点