未だ根強い人気がある高成長インド・中型株式ファンド。購入時手数料、信託報酬ともにかなり割高なので、なぜここまでまだ保有している人が多いのか理由がよくわかりません。
新興国株式のファンドというのはある特徴があり、あまり高いリターンを狙って投資をすると痛い目に遭うことがあります。
今日は、高成長インド・中型株式ファンドを徹底分析していきます。
「高成長インド・中型株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「高成長インド・中型株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「高成長インド・中型株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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高成長インド・中型株式ファンドの基本情報
投資対象は?
高成長インド・中型株式ファンド の投資対象はインドの中型株式です。中型株式というのは、ニフティ500の時価総額上位51位~350位の銘柄です。
ただ、以下の表のように、高成長インド・中型株式ファンドは大型株や小型株にも投資をしていきます。
※引用:マンスリーレポート
業種別に見てみると、素材、資本財、銀行の分野の比率が高くなっています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと思いますが、残念ながら高成長インド・中型株式ファンド はどちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年10月時点
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
高成長インド・中型株式ファンドは純資産総額は約500億円と未だに人気の高いファンドです。2020年以降は400~500億円をウロウロしているような状況です。規模としては問題ないレベルです。
特にコロナショック以降はパフォーマンスが好調なのですが、あまり純資産は増えていませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
高成長インド・中型株式ファンド の実質コストは2.06%とアクティブファンドの中でもかなり割高で、購入時手数料を込みで考えると、初年度は6%も手数料が取られます。さすがにこれは取りすぎですね。
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.0505%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 2.06%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
高成長インド・中型株式ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
高成長インド・中型株式ファンドの基準価額はコロナショックで急落し、6000円台まで落ち込みましたが、その後は恐ろしいスピードで上昇を続けています。
新興国の株式は調子がいいときは異常に高いパフォーマンスになることがありますが、まさにそんな状況にあるようです。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、高成長インド・中型株式ファンドの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは15.11%と非常に優れた結果となっています。3年、5年、10年平均利回りも10%を超えており、安定して高い利回りを維持できています。
ただ、この時点で優れたファンドだと評価するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比べてから判断するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +15.11% |
3年 | +22.02% |
5年 | +10.72% |
10年 | +17.17% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間高いパフォーマンスを出し続けている外国株式ファンドのランキング ベスト20
同カテゴリー内での利回りランキングは?
高成長インド・中型株式ファンドは、インド株カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
高成長インド・中型株式ファンドは、10年平均利回りは上位10%に入っており、それ以外の期間でも平均よりは良い順位にいますので、十分優秀なファンドだとわかります。
上位●% | |
1年 | 34% |
3年 | 32% |
5年 | 36% |
10年 | 9% |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
高成長インド・中型株式ファンド の年別のパフォーマンスも見てみましょう。
2017年、2022年のような大きなプラスとなっている年もあれば、年数%のプラスという年もあります。ただ、2018年に20%近い下落をした以外は総じて好調なので、これくらいのパフォーマンスで運用できるなら、投資をしたくなりますね。
年間利回り | |
2022年 | +12.46%(1-9月) |
2021年 | +50.15% |
2020年 | +3.06% |
2019年 | +2.89% |
2018年 | ▲17.52% |
2017年 | +40.61% |
2016年 | +0.30% |
2015年 | +7.37% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは類似ファンドとのパフォーマンス比較
高成長インド・中型株式ファンドに投資を検討する上で、より低コストで運用ができるインデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回はインドを含む新興国株式に超低コストで投資ができるeMAXIS Slim 新興国株式インデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
2021年の前半まではeMAIXS Slim 新興国株式のほうが上回っていましたが、2021年の後半からは、高成長インド・中型株式ファンドがかなり大きく差をつけています。
インデックスファンドと比べるとかなり変動幅が大きいので注意が必要ですが、この上昇は魅力的ですね。高いコストを支払ってでも投資をしたくなります。
高成長インド・中型株 | slim 新興国 | |
1年 | +15.11% | ▲7.26% |
3年 | +22.02% | +7.52% |
5年 | +10.72% | +2.96% |
10年 | +17.17% | - |
※2022年10月時点
最大下落率は?
高成長インド・中型株式ファンド に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲36.21% |
3カ月 | ▲35.02% |
6カ月 | ▲32.10% |
12カ月 | ▲36.04% |
※2022年10月時点
それではここで高成長インド・中型株式ファンド の最大下落率を見てみましょう。
まだ運用期間が10年経っていないのでですが、3カ月で30%超の大きな下落をしたことがあります。
短期的に見ればマイナスになっていますが、しっかり長期保有をすればプラスになりますので、大きく下落をしてもすぐに売らないようにしましょう。
とは言っても、やはり大きく下落して損はしたくないのも事実。以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
それでは、高成長インド・中型株式ファンド の評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
高成長インド・中型株式ファンドは2021年初めまでは流出が続いていましたが、2022年以降は流入超過となっており、評判がよくなってきています。
販売手数料も高く、信託報酬も高いわけですが、パフォーマンスがかなり改善されてきたというのが大きなポイントですね。
※引用:モーニングスター
高成長インド・中型株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
新興国株式はある好調のときは30~40%のリターンが期待できるため、一時的には美味しい思いができるのですが、たいていそのパフォーマンスは長続きしません。
そして、多くの投資家は高いパフォーマンスを見てから、飛び乗ってくるのですが、そのころには運用がうまく行かなくなりはじめ、たいした利回りにならないことがほとんどです。
さらに、あまり見たことのないレベルのコストの高さが追い打ちをかけてきますので、実際にはそこまで利益が出ないということがよくあります。
現状、高成長インド・中型株式ファンドはパフォーマンスが好調なので、投資する価値があるファンドと言えますが、直近のパフォーマンスが好調なだけに入るタイミングを間違えると、大きく含み損を抱えることになりかねません。
ただ長期保有を続ければ、ちゃんとプラスになっていくので、我慢して持ち続けられる自信がある人だけ投資をするようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点