未だ根強い人気がある高成長インド・中型株式ファンド。
購入時手数料、信託報酬ともにかなり割高なので、なぜ
ここまでまだ保有している人が多いのか理由がよくわか
りません。
新興国株式のファンドというのはある特徴があり、あまり
高いリターンを狙って投資をすると痛い目に遭うことが
あります。
今日は、高成長インド・中型株式ファンドを徹底分析して
いきます。
「高成長インド・中型株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「高成長インド・中型株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「高成長インド・中型株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
高成長インド・中型株式ファンドの基本情報
投資対象は?
高成長インド・中型株式ファンド の投資対象はインドの
中型株式です。
中型株式というのは、ニフティ500の時価総額上位51位~
350位の銘柄です。
ただ、以下の表のように、高成長インド・中型株式ファ
ンドは大型株や小型株にも投資をしていきます。
※引用:マンスリーレポート
業種別に見てみると、素材、医薬品、銀行の分野の比率が高く
なっています。
やはり新興国では金融マーケットが一番手堅いと言っても
いいマーケットなので、比率が高くなっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するように
してください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金
を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が
相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその
投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなる
こともありますので注意が必要です。
高成長インド・中型株式ファンドは純資産総額は690億円と、
とても人気のあるファンドです。
2017年が非常にパフォーマンスが良かったことから、急速に
資金流入が加速しました。
しかし、2018年以降はパフォーマンスが優れないため、
純資産が減少しています。
パット見ると、このファンドに投資をしている人は利益を
出しているように見えますが、資金流入のタイミングから
考えて、たぶん高値掴みをしてしまっている人も多いと思います。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用が
かかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買
手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストが
かなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
高成長インド・中型株式ファンド の実質コストは2.0505%と
アクティブファンドの中でもかなり割高で、購入時手数料を
込みで考えると、初年度は6%も手数料が取られます。
さすがにこれは取りすぎですね。l
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.0505%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 2.0505%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
高成長インド・中型株式ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
高成長インド・中型株式ファンドの基準価額は2018年から
下落傾向が続いており、コロナショックでさらに下落の
スピードが増しました。
新興国株は一時的に高いリターンをあげることができるとき
もありますが、トータルで見るとやはり先進国株式のほうが
安定して利益を出せるイメージです。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、高成長インド・中型株式ファンドの運用実績を
見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲9.30%とかなり厳しい結果となって
います。。
3年平均利回りはマイナスで5年平均利回りもかろうじて、
プラス程度ですので、運用会社だけが手数料収入で儲けて
いるのが実態ですね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲9.30% |
3年 | ▲7.53% |
5年 | 0.88% |
10年 | – |
※2020年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間高いパフォーマンスを出し続けている外国株式ファンドのランキング ベスト20
同カテゴリー内での利回りランキングは?
高成長インド・中型株式ファンドは、インド株カテゴリーに
属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
高成長インド・中型株式ファンドは、平均より少し
下の順位をつけています。
このパフォーマンスでもこの順位ですので、ここ数年の
インド株は相当厳しい戦いとなっています。
上位●% | |
1年 | 52% |
3年 | 66% |
5年 | 35% |
10年 | – |
※2020年11月時点
年別のパフォーマンスは?
高成長インド・中型株式ファンド の年別のパフォーマンス
も見てみましょう。
2017年のようなサプライズもありますが、2018年のような
20%近い下落もあるため、かなり基準価額の変動が大きく
なります。
トータルで見ると、たいしてプラスになっていませんので、
先進国株に投資をしたほうが無難です。
年間利回り | |
2020年 | ▲0.97%(1-9月) |
2019年 | +2.89% |
2018年 | ▲17.52% |
2017年 | +40.61% |
2016年 | +0.30% |
2015年 | +7.37% |
※2020年11月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
類似ファンドとのパフォーマンス比較
高成長インド・中型株式ファンドに投資を検討する上で、
より低コストで運用ができるインデックスファンドとの
パフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回はインドを含む新興国株式に超低コストで投資ができ
るeMAXIS Slim 新興国株式インデックスとパフォーマンス
を比較してみました。
※引用:モーニングスター
直近3年間ではeMAIXS Slim 新興国株式のほうがパフォー
マンスでは終始圧倒しています。
コロナショックでさらに下落幅が拡大しましたね。
このような悲惨な結果では、高いコストを支払って
高成長インド・中型株式ファンドに投資をするメリット
がありません。
高成長インド・中型株 | slim 新興国 | |
1年 | ▲9.30% | 4.84% |
3年 | ▲7.53% | ▲0.47% |
5年 | 0.88% | – |
10年 | – | – |
※2020年11月時点
最大下落率は?
高成長インド・中型株式ファンド に投資をする前に、
最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておく
ことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、
大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられる
からです。
それではここで高成長インド・中型株式ファンド の最大
下落率を見てみましょう。
まだ運用期間が10年経っていないのでですが、3カ月で
30%超の大きな下落をしたことがあるようです。
短期的に見ればマイナスになっていますが、しっかり長期
保有をすればプラスになりますので、大きく下落をしても
すぐに売らないようにしましょう。
とは言っても、やはり大きく下落して損はしたくないのも事実。
以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲36.21% |
3カ月 | ▲35.02% |
6カ月 | ▲32.10% |
12カ月 | ▲36.04% |
※2020年11月時点
評判はどう?
それでは、高成長インド・中型株式ファンド の評判は
どうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の
流出入を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が
悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
高成長インド・中型株式ファンドは2017年のパフォー
マンスが良かったころには大きく資金流入しましたが、
それ以降毎月流出が続いています。
さすがに販売手数料も高く、信託報酬も高く、パフォーマ
ンスでもインデックスファンドに及ばないとなればどうし
ようもありませんね。
※引用:モーニングスター
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年11月時点
高成長インド・中型株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
新興国株式はある好調のときは30~40%のリターンが
期待できるため、一時的には美味しい思いができるの
ですが、たいていそのパフォーマンスは長続きしません。
そして、多くの投資家は高いパフォーマンスを見てから、
飛び乗ってくるのですが、そのころには運用がうまく
行かなくなりはじめ、たいした利回りにならないことが
ほとんどです。
そのうえ、あまり見たことのないレベルのコストの高さ
ですので、あえて高成長インド・中型株式ファンドに
投資をするメリットがありません。
もし新興国株式に投資をしたいのであれば、超低コスト
のインデックスファンドに投資をするほうが賢明と言えます。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点