日興アセットのグローバル・モビリティファンドやBNYメロンのモビリティ・イノベーションファンドと並んで、注目が集まっている大和住銀のEV革命。
同時期にファンドを出すことで、注目を集めようというマーケティングの戦略ですが、投資家からすると、何がどう違うのかよくわかりません。
実際、中身をよくみると、違いがわかってくるので、今日は、EV革命(為替ヘッジなし)について、私が独自の目線で分析、評価していきます。
「EV革命って投資対象としてどうなの?」
「EV革命って持ってて大丈夫なの?」
「EV革命より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の基本情報
投資対象は?
EV革命(為替ヘッジなし)の投資対象は、EV(電気自動車)の進化や発展に伴い恩恵を受ける企業です。国別の構成比率を見てみると、アメリカが約4割となっており、次いでフランス、日本と続いています。 ※引用:マンスリーレポート
現在の組入れ銘柄は44銘柄となっており、上位5銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
EV革命(為替ヘッジなし)の実際の運用は、ロべコSAMエージ―が行います。ロベコはオランダの大手資産運用グループ「ロベコ・グループ」の100%出資法人で、1995年に設立され、ESG分野で高い評価を受けている資産運用会社です。
ちなみ、ESG分野とは、環境(Enviroment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して投資を行う方法です。
純資産総額は?
続いて、EV革命(為替ヘッジなし)の純資産総額はどうなっているか見ていきます。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
EV革命(為替ヘッジなし)の現在の純資産総額は約950億円ですので、かなり大きなファンドです。規模としては全く問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
EV革命(為替ヘッジなし)の実質コストは、1.84%とかなり割高な水準になっています。テーマ型ファンドはコストが高いことが多いですが、パフォーマンスが伴わないと全く割にあいません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.793%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.84%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の評価分析
基準価格をどう見る?
EV革命(為替ヘッジなし)の基準価額はコロナショックで、10,000円を大きく割り込みましたが、コロナショック後は、急上昇しました。
ただ、2021年はほぼ横ばいとなっており、あまり優れた成果を残せていません。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
EV革命(為替ヘッジなし)の直近1年間の利回りは▲2.73%となっています。ただ3年平均利回りは24%とかなり高い利回りとなっていますので、悪くないパフォーマンスということがわかります。
ただ、この段階で良い悪いを判断するのは時期尚早です。しっかり他のファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしていきましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲2.73% |
3年 | +24.18% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
EV革命(為替ヘッジなし)は、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
EV革命は直近1年間は平均的な水準ですが、3年平均利回りでは上位3%以内にはいっており、非常に好調です。
上位●% | |
1年 | 49% |
3年 | 3% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
EV革命(為替ヘッジなし)の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
プラスの年は2桁プラス、マイナスの年は2桁マイナスとかなりボラティリティが大きいですが、総じてプラスになっています。
こういった値動きの大きなファンドは投資初心者の方には向きません。大きな値動きがあっても絶対ホールドしつづける覚悟を持って投資しないとすぐに手放して損を出して終わると思います。
年間利回り | |
2022年 | ▲13.05%(1-9月) |
2021年 | +24.88% |
2020年 | +50.56% |
2019年 | +35.70% |
2018年 | ▲20.98% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
EV革命(為替ヘッジなし)に投資を検討する上で、低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は全世界の株式に投資ができるeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較してみましょう。
※引用:モーニングスター
コロナ前まではかなり接戦を繰り広げていましたが、コロナショック後はEV革命が急騰しており、大きな差をつけています。
パフォーマンスにこれだけ差がつくのであれば、高いコストを支払ってでも投資を検討する価値があると言えますね。
EV革命 | slim全世界株式 | |
1年 | ▲2.73% | +3.04% |
3年 | +24.18% | +14.91% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
ここでは、他の運用会社が設定しているEV革命(為替ヘッジなし)と類似したファンドとパフォーマンスの比較を行いました。EV革命は赤線ですが、他のファンドと比べても悪くない位置にいると言えそうです。
※引用:モーニングスター
名前だけ見ると、どのファンドも似たような投資先に投資をしているように見えますが、パフォーマンスからわかる通り、投資先は全く違います。ですので、モビリティや自動運転、EV等のテーマ投資を検討している方は慎重にファンド選定してください。
為替ヘッジ無?有?どちらがいい?
EV革命には、為替ヘッジなしと為替ヘッジありが設定されています。私は原則ヘッジ無しをおすすめしていますが、どれくらいパフォーマンスに差が出るのか気になる人もいると思いますので、比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
直近では、EV革命(為替ヘッジなし)が円安の影響でかなり大きく差をつけています。今の日本の現状を考えると、円安に向かうシナリオが圧倒的に強いので、無難にヘッジ無しを選択しておけばよいと思います。
最大下落率は?
EV革命(為替ヘッジなし)に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではEV革命の最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲17.18% |
3カ月 | ▲25.53% |
6カ月 | ▲19.61% |
12カ月 | ▲20.74% |
※2022年10月時点
最大下落率は2020年1月~2020年3月の25.53%です。コロナショックの影響はやはり大きかったということですね。とはいえ、他のファンドと比べれば、まだ下落幅は抑えられています。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
つづいて、EV革命(為替ヘッジなし)の評判を見ていきます。評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけEV革命を購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。
EV革命は2018年の初めだけ資金流入がつづいていましたが、2019年以降は毎月資金流出がつづいています。
パフォーマンスが非常に良くなっているタイミングで、資金がまったく流入してこなかったのは、今までのパフォーマンスが振るっていなかったので、疑心暗鬼の投資家が多く、購入できなかったのだと思います。
直近でも資金が流出超過となっており、基準価額の上がりすぎが警戒されている模様です。
※引用:モーニングスター
グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の評価まとめと今後の見通し
まず、世界的な流れとして、多くの炭素燃焼を動力とする自動車を道路から排除する方向で合意がなされています。
以下のように、大気汚染対策や排ガス規制を強化するために各国が取組みを決めています。ここ数年で大きく動くかと言われると、決してそうではないと思いますが、
大きな流れとして、電気自動車にシフトさせていくという流れはもう止まらないでしょう。そういう意味ではEV関連銘柄というのは将来性があると言えます。
運用会社のロベコが資産しているデータでは、2038年には世界の自動車販売数の50%がEV車に置き換わるというデータさえあります。
2019年までは、なかなか評価されず日の目を見ることがなかったEV関連銘柄ですが、2020年以降は、今までのマイナス分をはるかに上回る勢いで上昇しました。結果として、2022年は大きく売られましたが、もう一度上昇という展開も十分あると思います。
間違いなく今後注目されるテーマなので、ポートフォリオの一部に入れておいても損はないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点