グローバル株式とオプション取引を組み合わせて毎月分配型にしているニッセイ グローバル高配当株式プラス(毎月決算型)。
通常のグローバル株式投資とは異なり、オプション取引のプレミアムで毎月の分配金の一部を賄おうとしているようですが、果たしてこのような奇策はうまく行くのでしょうか?
今日は、ニッセイ グローバル高配当株式プラス(毎月決算型)について徹底分析していきます。
「ニッセイ グローバル好配当株式プラスって投資対象としてどうなの?」
「ニッセイ グローバル好配当株式プラスって持ってて大丈夫なの?」
「ニッセイ グローバル好配当株式プラスより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ニッセイ グローバル好配当株式プラスの基本情報
投資対象は?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の投資対象は、日本を含む世界各国の好配当株式および、コール・オプションです。
株式は、配当利回りの水準だけでなく、配当の安定性や成長性、企業の動向などをもとに銘柄の選定を行います。
オプション取引では、コールオプションを売却することで、プレミアムを獲得を狙います。
収益のイメージは下図のような感じです。
オプション取引は、一度理解してしまえば、簡単なのですが、ここで説明するには、相当の記事ボリュームになってしまうので、また別の機会にまとめて説明したいと思います。
今日は、オプション取引を追加することで、株価が大きく値上がりしない限り、オプション料という収益を毎月得られるとだけ覚えておいてください。
地域ごとの組入比率を見てみると、米国が約29%、イギリスが約17%、日本が約15%となっており、米国や欧州の比率が高くなっていることがわかります。
これは投資助言で入っているシュローダー・インベストメント・マネジメントがイギリスのロンドンを本拠地としており、欧州に強いという背景もあります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は2015年ごろから急激に純資産総額を増やしていましたが、2018年以降はパフォーマンスが優れず、純資産も減少傾向にあります。
現在では、440億円程度ですが、それでも規模としては十分な大きさです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の実質コストは1.727%と高くなっています。
初年度は、購入時手数料と合わせて5%近く取られますので、慎重に選ばなければなりません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.727%(税込) |
信託財産留保額 | 0% |
実質コスト | 1.727%(概算値) |
※引用: 最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の評価分析
基準価額をどう見る?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の基準価額は、3年間で10%程度、下落しています。
分配金を受け取らずに運用を続けた場合の基準価額(青線)を見ると、3年間で2倍以上に上昇していますので、運用はうまくできていますが、ファンドの運用益に見合わない分配金を支払っているというとです。
基準価額が1000円台のファンドというのは相当珍しいので、今までの悪行がよくわかりますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の直近1年間の利回りは30.92%です。
3年平均、5年平均、10年平均の利回りも7%以上ありますので、パフォーマンス自体は悪くありません。
ただ、この段階で判断するのは早く、同カテゴリーの他のファンドを比較をしてから判断してください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +30.92% |
3年 | +24.86% |
5年 | +7.06% |
10年 | +7.55% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ニッセイ グローバル好配当株式プラスは1年・3年平均利回りは、上位10%にランクインしていますが、5年・10年平均利回りは、下位30%に入っています。
投資信託は長期投資が前提になるので、長期のパフォーマンスがより重要になります。そう考えると、他にもっと優れたファンドが多数あることがわかるので、他のファンドと比較をするべきだとわかります。
上位●% | |
1年 | 7% |
3年 | 9% |
5年 | 80% |
10年 | 74% |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2桁のプラスを出している年も多いのですが、2桁のマイナスを出してしまっている年も多く、運用が安定していません。
オプション売戦略がうまく機能していれば、もう少し安定した運用益が期待できるのではないかと思っていましたが、なかなか難しいようです。
年間利回り | |
2023年 | +18.21%(1-9月) |
2022年 | +7.79% |
2021年 | +27.76% |
2020年 | ▲12.54% |
2019年 | +15.52% |
2018年 | ▲14.84% |
2017年 | +13.19% |
2016年 | +5.21% |
2015年 | ▲7.50% |
2014年 | +19.02% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
ニッセイ グローバル好配当株式プラスへの投資を検討しているような投資家は分配金利回りばかりを気にして、ファンド本来の収益力を軽視しがちです。
しかし、ファンドの運用利回りが高くなければ、あなたが受け取れる分配金も投資元本が削られて返ってくるだけになってしまいます。
アクティブファンドに投資をするのであれば、インデックスファンドよりも優れたパフォーマンスでなければ投資をする価値がありません。
今回は、世界中の株式に分散投資ができ、今非常に人気の高いeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)と比較を行いました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)はパフォーマンスで勝っています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)は5年以上の運用期間がないため、5年、10年の平均利回りは比較ができませんが、同じ指数をベンチマークとしているeMAXIS 全世界株式の平均利回りを見ると、5年、10年平均利回りがともに10%を超えています。
ですので、短期的には、ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)のパフォーマンスが向上していますが、中長期で見ると、低コストのeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)に投資をしておいたほうがいいということです。
ニッセイ グローバル好配当 | slim オールカントリー | |
1年 | +30.92% | +23.71% |
3年 | +24.86% | +20.23% |
5年 | +7.06% | - |
10年 | +7.55% | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)への投資を検討するのであれば、類似ファンドとのパフォーマンス比較はしておいて損はありません。。
今回は毎月分配型のアクティブファンドで、世界の好配当株式に分散投資ができるピクテ グローバル・インカム株式ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)はパフォーマンスで勝っています。
一方、5年平均利回りはでは、ピクテ グローバル・インカム株式ファンドのほうが勝っており、10年平均利回りになると、またニッセイ グローバル好配当株式プラスが勝っています。
なかなか優劣をつけがたいですが、そもそもとして、インデックスファンドのほうがパフォーマンスで上回っているので、インデックスファンドを選択しておけば十分ですね。
ニッセイ グローバル好配当 | グロイン | |
1年 | +30.92% | ▲1.69% |
3年 | +24.86% | +11.86% |
5年 | +7.06% | +8.41% |
10年 | +7.55% | +6.58% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は2020年1月~2020年3月の間に最大▲33.01%下落しています。
やはりコロナショックの影響がかなり大きかったと言えます。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲22.66% |
3カ月 | ▲33.01% |
6カ月 | ▲26.98% |
12カ月 | ▲29.28% |
※2023年10月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
137円 | 300円 | 146% |
※2022/10/13~2023/10/12
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の直近1年間の分配健全度は146%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。
今は、一時的に分配健全度が改善していますが、異常な分配を行っているファンドなので、すぐに悪化していくのは間違いないですね。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | +30.92% | 17.4% |
3年 | +24.86% | |
5年 | +7.06% | |
10年 | +7.55% |
※2023年10月時点
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の分配金利回りは17.4%と異常な利回りとなっており、受け取れる分配金の額はかなり大きいです。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気をつけてほしいと思います。
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は昨年も減配していますが、ほぼ間違いなく今年も減配します。
ここまで異常な分配を続けているようなファンドはもう、毎年減配しなければ、分配金余力がなくなってしまうので、かなり高頻度に減配が行われることは確実です。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
127期 | 30円 | 270円 | 10カ月 |
128期 | 30円 | 257円 | 9.6カ月 |
129期 | 30円 | 243円 | 9.1カ月 |
130期 | 30円 | 230円 | 8.7カ月 |
131期 | 30円 | 215円 | 8.2カ月 |
132期 | 30円 | 201円 | 7.7カ月 |
133期 | 30円 | 188円 | 7.3カ月 |
134期 | 30円 | 173円 | 6.8カ月 |
135期 | 30円 | 176円 | 6.9カ月 |
136期 | 30円 | 146円 | 5.9カ月 |
137期 | 30円 | 130円 | 5.3カ月 |
138期 | 20円 | 127円 | 7,4カ月 |
※引用:最新運用報告書
評判はどう?
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけニッセイ グローバル好配当株式プラスを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は、2018年以降、流入額が小さくなっていましたが、2020年に入り、再び流入量が増え始めています。
これは、何もわかっていない投資家が分配金利回りの高さだけを見て投資をしているからです。毎月分配型の仕組みをしっかり理解している投資家であれば、まず投資をしないファンドです。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
NISAやiDeCoで投資を検討している人も多いと思います。
そこで、NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の今後の見通し
通常のグローバル株式への投資だけでなく、オプション戦略も取り入れているニッセイ グローバル好配当株式プラスですが、残念ながら、その効果は皆無と言っても過言ではありません。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の一番酷いところは、明らかに過剰な分配を続けているにもかかわらず、分配金を大きく減額しないことです。
ファンドの収益と分配金利回りから考えれば、ここから3分の1に減額してもまだ割高と言える水準です。それをしないのは、ひとえに資金が流出し、純資産額が減るのを運用会社が嫌がっているからです。
こういった投資家を騙すために作られたようなファンドには、くれぐれも投資をしないようにしてください。
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)よりも低コストでパフォーマンスの高いインデックスファンドに投資をしたほうがあなたの資産は確実に増えるでしょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点