地球温暖化、水不足、食料問題、廃棄物問題など、環境破壊が世界全体に様々な問題をもたらしており、持続可能な経済へ移行することが不可避となっています。
環境関連の分野では、テクノロジーを活用したイノベーションが進み、こうした課題の解決につながる製品やサービスを提供できる企業が社会から高く評価されるようになりました。
そんな環境問題の解決を牽引する企業に投資をするのが、野村アセットマネジメントの野村 環境リーダーズ戦略ファンドです。今日は、この環境リーダーズ戦略ファンドについて徹底分析していきます。
「野村 環境リーダーズ戦略ファンドって投資対象としてどうなの?」
「野村 環境リーダーズ戦略ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「野村 環境リーダーズ戦略ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
野村 環境リーダーズ戦略ファンド Aコースの基本情報
投資対象は?
野村 環境リーダーズ戦略ファンドの投資対象は、新興国を含む世界の環境関連企業の株式です。外国投資法人であるBNPパリバ・ファンズ・グローバル・エンバイロメントを通じて、これらの株式に投資をしていきます。
直近の組入上位10カ国・地域は以下の通りです。
先進国の株式とありますが、60%以上がアメリカの株式になります。次いで、フランス、イギリスとなっており、新興国の銘柄はほとんど入っていないようです。
※引用:マンスリーレポート
具体的にどのようなビジネスを行っている企業に投資をしているのかというと、以下のような環境関連ビジネスに投資をしています。
※引用:販売資料
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは500億円規模に成長しており、やはり、SDGs関連のファンドというのは資金が集まりやすいですね。規模の大きさは全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは購入時手数料が3.3%、信託報酬も1.8%台とかなり割高な設定になっています。
投資する際には、事前にしっかり調べておく必要がありますね。
購入時手数料 | 3.3%(税込) |
信託報酬 | 1.86%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.86%(税込) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
野村 環境リーダーズ戦略ファンド Aコースの評価分析
基準価額をどう見る?
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは設定したタイミングが良かったこともあり、2021年は上昇を続けましたが、2022年に入り、大きく下落しており、2023年に入っても、直近の高値を更新できていません。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、野村 環境リーダーズ戦略ファンドの運用実績を見てみましょう。
運用利回りは8.96%と悪くないように見えます。ただ、単年のパフォーマンスはあまり参考になりませんので、ここだけを見て、良し悪しを判断してはいけません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 8.96% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは、平均的な水準となっており、他にもっと優れたファンドがあることがわかります。
上位●% | |
1年 | 51% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
続いて、野村 環境リーダーズ戦略ファンドの年別のパフォーマンスを見ていきます。
2022年はかなり大きく下落しています。他の株式ファンドが検討している中で、2023年のマイナスは残念ですね。
年間利回り | |
2023年 | ▲1.66%(1-9月) |
2022年 | ▲21.95% |
2021年 | 23.80% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
野村 環境リーダーズ戦略ファンドに投資をするのであれば、最低限、低コストのインデックスファンドよりパフォーマンスが優れていなければ、投資をする価値がありません。
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは米国株の比率が約60%なので、同程度の投資配分となっているeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、すべての期間のおいて、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのほうがパフォーマンスで上回っています。
さすがにここまで差がつくと、あえて野村 環境リーダーズ戦略ファンドを選択する理由が見当たりません。
環境リーダーズ | slim 先進国 | |
1年 | 8.96% | +24.67% |
3年 | - | +22.16% |
5年 | - | +13.93% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドへ投資をするのであれば、アクティブファンドの中でも優秀なファンドに投資をしたいものです。
そこで、今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも全期間において、大和住銀DC海外株式アクティブファンドが上回っています。
大和住銀DC海外株式アクティブファンドは相当優れたファンドですので、このファンドに競るくらいのパフォーマンスを継続できると、野村 環境リーダーズ戦略ファンドにも投資する価値がありそうです。
年平均利回り | 環境リーダーズ | 大和住銀DC |
1年 | 8.96% | 24.67% |
3年 | - | 13.25% |
5年 | - | 13.76% |
10年 | - | 14.90% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。
標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
野村 環境リーダーズ戦略ファンドの最大下落率は2022年1月~6月の半年間で26.65%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.85% |
3カ月 | ▲16.12% |
6カ月 | ▲26.65% |
12カ月 | ▲24.44% |
※2023年10月時点
まだ運用期間が短いこともあり、これくらいの下落幅で済んでいますが、将来的にはもっと大きな下落を経験することになると思います。
評判はどう?
それでは、野村 環境リーダーズ戦略ファンドの評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
野村 環境リーダーズ戦略ファンドは2022年に入ってからは資金の流出が続いており、すでに評判は落ち気味です。
※引用:ウエルスアドバイザー
野村 環境リーダーズ戦略ファンド Aコースの今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
人口増加や地球温暖化などに端を発する環境問題の深刻化を背景に、それらを解決を促す環境関連ビジネスの市場規模は拡大しています。
今後、EVや燃料電池車が標準になり、スマート農業や配送システムの進化によって食料増産や食品ロスが軽減されることも期待できます。また、中東諸国では海水淡水化技術の活用がさらにすすみ、あらゆる素材のリサイクル技術が進むことが予想できます。
これらの環境課題を支援するという意味で、野村 環境リーダーズ戦略ファンドに投資をするというのも投資の楽しみ方の1つだと思いますので、それはそれで良い選択だと思っています。
ただし、一方で私たちが投資で実現したいのは、やはりリターンです。
少なくともインデックスファンドよりは高い利回りで運用できなければ、あえてコストの割高なアクティブファンドに投資をしても仕方がありません。
リターンも追及でき、環境問題の解決の役にも立てる、そんな素晴らしいファンドに育っていくことを期待しつつ、まだ運用期間も短いので、モニタリングしていきたいと思います。
少なくとも現時点ではさすがにまだ投資をするのは早いですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点