コロナショックで株式市場が大暴落している中、なかなか
挑戦的なファンドが登場します。
なんとあのNYダウに3倍のレバレッジをかけて投資ができる
商品です。
正直、この下落相場の中で、保有を開始するのは、リスクが
かなり高いですが、ある程度底がみえて反転するタイミング
から保有を開始すれば、リーマンショック以降にNYダウが
大きく成長したように、大きなリターンが期待できます。
タイミングとしてはとても面白いので、今日は、NYダウ・
トリプル・レバレッジ『3α』の投資価値があるのか徹底分析
していきます。
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』の基本情報
投資対象は?
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』の投資対象は
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)です。
S&P Dow Jones Indiceが米国を代表する優良な30銘柄
を選出し、算出した指数ですが、ニュースなどでもよく
NYダウの現在値を報じますので、名前を聞いたことが
ないという人はいないと思います。
今回は、日次ベースで、NYダウの値動きの3倍になる
ように運用をしていきます。
以下の図のように、株価指数先物でレバレッジをかけ
つつ、米国債や円建債で残りの資金を運用していきます。
※引用:交付目論見書
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用が
かかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買
手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストが
かなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』の実質コストは
最新の運用報告書がまだ出ていないのでわかりませんが、
信託報酬が1.1%、購入時手数料も2.2%と掛かりますので、
少なくとも割安の水準にはないと言えます。
購入時手数料 | 2.2%(税込) |
信託報酬 | 1.1%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | まだ不明 |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』の評価分析
利回りはどれくらい?
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』のリターンはまだ
運用が開始されていないので、わかりませんが、海外の
ETFにはNYダウの日次の値動きの3倍動くProShares
UltraPro Dow30(UDOW)が存在します。
UDOWのパフォーマンスから、今後期待できるNYダウ・
トリプル・レバレッジ『3α』のリターンを見てみましょう。
2月以降、コロナショックの影響で、すでに70%近く下落
していますが、年間で見ると、64%程度のマイナスです。
この影響で、5年平均利回りまですべてマイナスという
かなり厳しい結果となっています。
レバレッジ型の投資信託やETFに投資をするのであれば、
下落に備えた対策をしながら投資をすることが必須と
言えますね。
年間利回り | |
1年 | ▲64.24% |
3年 | ▲14.93% |
5年 | ▲0.59% |
10年 | – |
※2020年3月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいて、UDOWの年別のパフォーマンスを見ていきます。
2020年の大暴落部分がまだ反映されていませんが、それ
までのパフォーマンスは出来過ぎのパフォーマンスです。
リーマンショック以降、安定的に株式市場が成長していた
からなのですが、今回もコロナショックで大暴落したところ
をうまく拾うことができれば、大きな利益が期待できる
かもしれません。
年間利回り | |
2019年 | +75.55% |
2018年 | ▲23.51% |
2017年 | 98.88% |
2016年 | 47.02% |
2015年 | ▲8.35% |
2014年 | 25.71% |
2013年 | 106.70% |
2012年 | 26.41% |
2011年 | 9.18% |
※2020年3月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
NYダウ・トリプル・レバレッジ『3α』の今後の見通し
いかがでしょうか?
このブログでは、基本的にレバレッジ型のファンドへの
投資は推奨していません。
その理由がまさにこういった暴落があったときに資産の
大部分を失うことになるからです。
2019年はまさにレバレッジ型ファンドの人気に火が
付いたため、多くの投資家が購入したばかりだったと
思いますが、たぶんほとんどの人は資産がマイナスに
なっているはずです。
どちらかと言えば、タイミングが重要なので、投機的な
投資になり、中長期で安定して投資をしていく銘柄では
ありません。
NYダウ・トリプル・レバレッジも大暴落が来ると、
資産が激減するので、長期投資には向きませんが、
このコロナショックで大きく下落したタイミングで
あれば、エントリーしてみるのも面白いかもしれません。
ただし、ボラティリティがかなり大きいので平気で±50%
を行き来することになります。
それでもブレずに保有を続けられるだけの確固たる信念と、
損しても耐えられる金額で投資をしてみるのであれば、
面白い銘柄と言えます。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点