世界の高配当利回り公益株に投資するファンドの先駆的存在として、
圧倒的な人気を集めたピクテ・グローバル・インカム株式ファンド
ですが、2007年に純資産総額が2兆円を超えて以来、下落の一途を
たどり、現在では5800億円規模まで縮小しています。

直近では、基準価額の下落も止まっており、毎月50円の分配金を
安定的に出していることから、安心している投資家もいるかも
しれませんが、本当に安心していて大丈夫なのでしょうか?

今日はピクテ・グローバル・インカム株式ファンドについて
しっかり分析していきたいと思います。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の基本情報

投資対象は?

投資対象は世界の高配当利回りの公益株(電力、ガス、水道、電話、
通信、運輸、廃棄物処理、石油供給などの企業)に投資を行い、
特定の銘柄や国に集中せずに分散投資を行います。

公益企業というのは、日常生活に不可欠なサービスであり、
そのため景気の良し悪しに左右されにくく、収益基盤が相対的に
安定するのが特徴の一つです。

現在、組み入れ銘柄は70銘柄で、組み入れ銘柄の予想平均配当
利回りは4.1%となっています。

組み入れ銘柄上位10社を見ても、国ごとにしっかり分散している
のがわかります。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少している
と、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む
可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)は、2008年に
2兆円という巨額の資金が集まっていましたが、徐々に純資産総額を
減らし、現在は5800億円規模となっています。

規模としては、全く問題ありませんね。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の実質コストは
1.184%となっており、カテゴリー内では安い水準です。

ただし、購入時手数料も高く、積極的におすすめできる商品ではありません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.78%(税込)
信託報酬 1.788%(最大)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.184%(税込)

※第161期 運用報告書(2018年8月10日より)

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の評価分析

基準価額をどう見る?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの直近の基準価額の動向
を見てみましょう。

2015年の基準価額5000円程度でしたが、現在では3200円ほどまで
下落しています。

下落の要因は過剰な分配によるところですが、2018年は運用がうまく
いっていたため、基準価額の下落には歯止めがかかっている状態です。

利回りはどれくらい?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの利回を見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲2.24%となっています。3年、5年、10年
平均利回りでは、+2~4%安定的なリターンを出しています。

ただ、カテゴリー内の順位を見ると、他の同類ファンドと比べて、
かなりパフォーマンスで劣っています。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲2.24% 82%
3年 2.95% 89%
5年 4.78% 84%
10年 2.25% 94%

※2018年12月時点

標準偏差は?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの標準偏差を見てみると、
同カテゴリー内でのランクは平均以下となっています。

10年平均では最下位となっていますが、中長期でみるとかなり
価格の変動は大きくなることを覚悟しておいてください。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのは
ご存じでしょうか?

まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいて
くださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 9.30 36%
3年 9.46 4%
5年 10.35 6%
10年 15.05 11%

※2018年11月時点

年別のパフォーマンスは?

続いて、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの直近5年間の
年別のパフォーマンスを見てみましょう。

プラスの年もありますが、マイナスの年のほうが多くなっています。
パフォーマンスはやはり他のファンドのほうが優れていますね。

年間利回り
2018年 ▲1.61%(9月末時点)
2017年 8.53%
2016年 ▲0.34%
2015年 ▲10.07%
2014年 22.50%

※2018年11月時点

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性が
あるのは知っておきたいところです。

標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認した
ほうがイメージがわきますね。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドは2008年1月~2008年12月の
間に最大▲46.52%も下落しています。

株式ファンドですので、最大下落率はどうしても大きくなりがちです。

基本的には長期保有をすればプラスのリターンが出ていますが、
ただし、何も考えず保有し続けるのは厳禁です。

考えなしの長期保有が自分の首を絞める理由とは?

期間 下落率
1カ月 ▲20.27%
3カ月 ▲34.60%
6カ月 ▲39.34%
12カ月 ▲46.52%

※2018年11月時点

分配金の推移と分配金余力は?

分配金の推移を見てみると、2014年ごろから毎月50円の分配を
維持しています。

直近はそこそこ運用がうまく行っていたため、分配金余力が大きく
減少することはありませんでしたが、分配金余力は約22カ月なので、
そろそろ注意が必要な水準にまで来ています。

基準価額に対する分配金の割合を示す分配金利回りは18%となっており、
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)にとっては、
かなり過剰な分配を行っていることになります。

分配金 当期収益以外 繰越対象額
156期 50円 1,096円
157期 50円 1,100円
158期 50円 1,104円
159期 50円 1,107円
160期 50円 1,113円
161期 50円 1,116円

評判はどう?

では、かなり苦しい運用が続いているピクテ・グローバル・インカム
株式ファンドですが、評判はどうなのでしょうか?

こちらに月次の資金流出入額を載せました。資金流出入額というのは、
このファンドの人気度、評判をはかる指標であり、流出=人気がない、
評判が悪い。流入=人気がある。評判がいい。ということになります。

直近も資金が流出していると思っていたのですが、なぜかプラスの
流入となっています。正直これに関しては、私も原因がわかっていません。

少なくとも私がおすすめできるファンドではないことは間違いないですね。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の今後の見通し

米国では追加利上げが見込まれており、長期金利の上昇は
配当利回りの相対的な魅力を低下させ、金利負担増となること
などから、公益企業の株価にマイナス要因となります。

一方で、中長期的には景気の回復は増益・増配をもたらし株価の
押し上げ材料となります。

今まで、毎月50円の分配金を出していますが、分配利回りが18%と
高すぎて、運用がうまく行かなくなると同時に大きく基準価額が
下落することが予想されます。

分配余力も約22か月とそろそろ危険水域に到達しますので、今後の流れ
としては、適正な分配金の水準である10~12円/月に近づいていくもの
と思われます。

ただ、運用会社としては、分配金を引き下げると資金の流出が起きます
ので、できるだけ下げたくないというのが本音です。

そのため、分配金の引き下げは後手後手に回ることが多く、その結果、
分配金のうち、運用リターンで賄いきれなかった分、基準価額の下落が
続くでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

安定的に分配金が支払われていると、どうしてもファンドについて詳しく
調べたりしなくなってしまいます。

しかし、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンもそろそろ50円の配当は
限界で、減配が行われると思いますので、それを期に、真に優れた投資信託
にスイッチングすることも検討の余地があると思います。