アクティブファンド分析

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の評価や評判は?今後の分配金の見通しは?

世界の高配当利回り公益株に投資するファンドの先駆的存在として、圧倒的な人気を集めたピクテ・グローバル・インカム株式ファンドです。

今日はピクテ・グローバル・インカム株式ファンドについて独自目線で徹底分析していきたいと思います。

「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)って持ってて大丈夫なの?」

「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)って投資対象としてどうなの?」

「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の基本情報

投資対象は?

投資対象は世界の高配当利回りの公益株(電力、ガス、水道、電話、通信、運輸、廃棄物処理、石油供給などの企業)に投資を行い、特定の銘柄や国に集中せずに分散投資を行います。

※引用:販売用資料

公益企業というのは、日常生活に不可欠なサービスであり、そのため景気の良し悪しに左右されにくく、収益基盤が相対的に安定するのが特徴の一つです。

今回のコロナショックでも他の株式ファンドと比較すると下落幅が確かに小さくなっており、公益企業は暴落時に株価への影響が小さいことが証明されました。

現在、組み入れ銘柄は52銘柄で、組み入れ銘柄の予想平均配当利回りは3.5%となっています。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額が少なければ、効率よく運用ができないため、コストが嵩みますし、運用会社としても運用に力を入れないため、パフォーマンスに影響が出てきます。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)は、2008年に2兆円という巨額の資金が集まっていましたが、徐々に減っていきました。

しかし直近でまた人気が盛り返し始めており、すでに1兆円を超える規模にまで膨れ上がってきています。規模としては、全く問題ありませんね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の実質コストは1.81%となっており、購入時手数料も高く、積極的におすすめできる商品ではありません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.85%(税込)
信託報酬 1.81%(最大)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.81%(税込)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の評価分析

基準価額をどう見る?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの直近の基準価額の動向を見てみましょう。

直近3年間は2,500円前後を推移しています。一方、分配金を再投資したときの基準価額(青線)を見ると、3年間で、30%ほどはプラスの運用ができています。つまり、ファンドの運用益がほとんど分配金に充てているということです。

基準価額が2000円台のファンド自体が珍しいですが、今まで酷い分配をしてこない限りはまずこのような事態にはならないですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

つづいて、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の運用実績を見ていきます。

直近1年間の利回りは▲1.69%とマイナスになっています。しかしそれ以外の期間の平均利回りは6%以上ありますので、健全な運用が出来ているとは言えます。

ただ、この時点でファンドの良し悪しを判断するのは時期尚早です。他のファンドと比較をしてから判断するようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲1.69%
3年 +11.86%
5年 +8.41%
10年 +6.58%

※2023年10月時点

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)は、日本を含む海外株式カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

残念ながら、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)は平均以下のパフォーマンスとなっています。

こうやって比較をすると、思わぬ発見があったりするのでぜひやってみてください。

上位●%
1年 99%
3年 66%
5年 74%
10年 85%

※2023年10月時点

年別のパフォーマンスは?

続いて、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

年別の利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。

下落に強い銘柄で構成されているので、年別のリターンも悪くないかと思いきや、マイナスの年も多く、正直そこまで優れた成果を残せているわけではありません。

プラスを出している年が20%を超える年も多数あり、そこでマイナス分を帳消しにしている形ですね。

年間利回り
2023年 ▲1.25%(1-9月)
2022年 +12.26%
2021年 +20.91%
2020年 ▲6.07%
2019年 +25.10%
2018年 ▲4.55%
2017年 +8.53%
2016年 ▲0.34%
2015年 ▲10.07%
2014年 +22.50%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

高いコストのアクティブファンドに投資を検討するのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、グローバルに分散投資ができるeMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)のほうがパフォーマンスで上回っています。

こうなってくると、高いコストを支払ってまでピクテ・グローバル・インカム株式ファンドに投資をする理由がなくなりますね。

ピクテ・グロイン slim 全世界
1年 ▲1.69% +23.71%
3年 +11.86% +20.23%
5年 +8.41% -
10年 +6.58% -

※2023年10月時点

アクティブファンドとのパフォーマンス比較

世間ではインデックスファンドが正という風潮が強いため、アクティブファンドなど検討さえもしていないという方も多いと思います。

しかし、数は少ないですが、長期に渡り圧倒的な成果を残しているアクティブファンドも存在しており、優れたアクティブファンドに投資をするのも1つの選択肢です。

そこで、今回は毎月分配型ファンドでありながら、驚異的なパフォーマンスを出しているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信とパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、米国成長株投信のほうがパフォーマンスで上回っています。

これだけ差がついていて、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドにまだ投資をしたいと思う人はほとんどいないと思います。

運用でしっかりと収益を出しているファンドであれば、タコ足配当になることもなく、分配金を受け取れますので、検討する価値はあると思います。

ピクテ・グロイン AB米国成長株投信
1年 ▲1.69% +25.31%
3年 +11.86% +18.17%
5年 +8.41% +16.62%
10年 +6.58% -

※2023年10月時点

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性があるのは知っておきたいところです。標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認したほうがイメージがわきますね。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドは2008年1月~2008年12月の間に最大▲46.52%も下落しています。

期間 下落率
1カ月 ▲20.27%
3カ月 ▲34.60%
6カ月 ▲39.34%
12カ月 ▲46.52%

※2023年10月時点

株式ファンドですので、最大下落率はどうしても大きくなりがちです。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲412円 240円 ▲71%

※2022/10/6~2023/10/5

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの直近1年間の分配健全度は▲71%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

2023年に関しては、あなたの受け取った分配金はファンドの収益からの支払いは全くありません。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配利回り
1年 ▲1.69% 10.2%
3年 +11.86%
5年 +8.41%
10年 +6.58%

※2023年10月時点

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの分配金利回りは、10%程度あり、ファンドのパフォーマンスから考えると、かなり高めの設定となっています。

直近はなんとかなっていますが、ファンドの収益だけでは分配金をカバーしきれないので、必然的にタコ足配当となり、基準価額はさらに一層下がることになりそうです。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドは直近で30%近く減配されており、分配金余力は、まだ60カ月以上ありますので、当分は減配される心配はないでしょう。

分配金 繰越対象額 分配金余力
204期 30円 1,227円 41.9カ月
205期 30円 1,229円 42.0カ月
206期 30円 1,228円 42.0カ月
207期 30円 1,229円 42.0カ月
208期 20円 1,232円 62.6カ月
209期 20円 1,238円 62.9カ月
210期 20円 1,243円 63.2カ月
211期 20円 1,246円 63.3カ月
212期 20円 1,252円 63.6カ月
213期 20円 1,255円 63.8カ月
214期 20円 1,258円 63.9カ月
215期 20円 1,262円 64.1カ月

評判はどう?

では、かなり苦しい運用が続いているピクテ・グローバル・インカム株式ファンドですが、評判はどうなのでしょうか?

資金流出入額というのは、このファンドの人気度、評判をはかる指標であり、流出=人気がない、評判が悪い。流入=人気がある。評判がいい。ということになります。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)は、とにかく分配金利回りが高いので、継続的に資金流入しています。ただ、明らかに分配金利回りのほうが高いので、タコ足配当が続いており、何もわかっていない投資家が投資しているのでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)のNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAに対応しています。

NISA iDeCo
×

※2023年10月時点

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)の評価まとめと今後の分配金の見通し

いかがでしたでしょうか?

今までも、そこそこ分配金利回りは高くなっていたのですが、コロナショックでの下落で一段と分配金利回りが高くなりました。正直、分配金利回りが10%を超えるというのは、ファンドの収益力をはるかに上回っています。

今後パフォーマンスが悪化し、タコ足配当が続くと、基準価額の下落に拍車がかかり、さらに減配せざるを得なくなります。健全な運用をするのであれば、毎月10円くらいの分配金が適性な水準です。

ただ、運用会社としては、分配金を引き下げると資金の流出が起きますので、できるだけ下げたくないというのが本音です。

そのため、分配金の引き下げは後手後手に回ることが多く、その結果、分配金のうち、運用リターンで賄いきれなかった分、基準価額の下落が続くでしょう。

安定的に分配金が支払われていると、どうしてもファンドについて詳しく調べたりしなくなってしまいます。一方で、このようにしっかりファンドを分析していくと、どのあたりに問題があるのかわかるようになります。

インデックスファンドにパフォーマンスで負けている点も気になりますし、コスト面もかなり割高です。さらに、今後は、分配金の支払いが重たくなり、基準価額の下落にも拍車がかかります。と考えると、あえて投資をする銘柄ではないと思います

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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