三井住友トラスト・アセットマネジメントが力をいれて販売している次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE5G。
身の回りにある様々なものを無線通信でつなげるIOTが近年本格化していますが、そのIOTの快適な利用には5Gの基盤が不可欠だと言われています。5Gは多くの投資家が注目しており、THE 5Gも約4500億円の純資産規模にまで成長しています。
今日は、次世代通信関連 世界株式戦略ファンドについて独自目線で分析していきます。
- THE5Gって投資対象としてどうなの?
- THE5Gって持ってて大丈夫なの?
- THE5Gより良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの基本情報
そもそも5Gとは?
まず、多くの方が5Gとは何なのか、よくわからないと思いますので、5Gについて説明しておきます。
5Gとは、第五世代移動通信システムの略称で、5Gの導入により高速・大容量のデータ送受受信が可能になり、5Gを基盤とするIoT社会の実現により、私たちの生活が劇的に向上すると言われています。
IoTというのは、Internet of Thingsの略で、身近にある色々モノをネットワークでつなげることで、情報のやりとりを可能になることを言います。
1990年頃は2Gと言われており、メールやWEBの閲覧がスムーズに行えるようになりました。2000年に入り、3Gになり、音楽や映像が楽しめるようになりました。
そして、2010年代に入り、4Gになり、動画やオンラインゲームが楽しめるようになりました。そして2020年代。5Gの世界が到来し、今よりさらに生活が快適になると言われています。
※引用:販売用資料
例えば、行き先を告げるだけで目的地まで自動で運んでくれる自動運転車、家にいながらスタジアム感覚でスポーツ観戦が楽しめるVR体験、個人の生体情報を瞬時に測定し、必要な処置を施すロボットの普及などです。
まだまだ挙げればキリがありませんが、通信の大容量・高速化でこのようなことが実現できるようになるのです。
投資対象は?
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの投資対象は、世界の次世代通信関連企業の株式に投資をしていきます。国別の構成比率を見てみると、米国が約60%となっており、次いで日本、台湾、オランダと続きます。
※引用:マンスリーレポート
組入銘柄を以下のような産業分野で区分すると、通信インフラ関連が30%、通信サービス関連が25%、IoT機器関連が40%となっています。
※引用:マンスリーレポート
運用の特徴は?
運用の特徴として、実際に運用を行うのは、ニューバーガー・バーマン・グループの運用会社であるニューバーガー・バーマン・インベストメント・アドバイザーズ・エル・エル・シーです。
ニューバーガー・バーマンは1939年創業の資産運用会社で米国ニューヨークに本社を置き、世界に約750名程度いる運用担当者が世界中の機関投資家や個人投資家向けに様々なサービスを提供しています。
従業員数は2800名にのぼるので、かなり大きな運用会社です。
純資産総額は?
続いて、次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。早期償還のリスクもありますね。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
一方、純資産総額が大きく、直近も純資産が増え続けているファンドは、多くの投資家が継続的に投資をしていることになるので、ファンドの評判をはかる指標の1つになります。
500~1000億=人気、1000億円以上=かなり人気と考えていいです。
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの純資産額は一時は7000億円を超えていましたが、パフォーマンスの悪化に伴い、現在は約4500億円の規模になっています。それでも規模としてはかなり大きいファンドです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの実質コストは1.85%とかなり割高となっています。購入時手数料と合わせると、初年度は5%を超えるコストがかかりますので、要注意です。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.848%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.85%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの独自評価と分析
基準価格をどう見る?
続いて次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの基準価額を見ていきましょう。
2022年は下落しましたが、2023年以降はまた大きく上昇しています。インデックスファンドと比べて、上げ幅が大きいですが、直近のように落ちるときは大きく落ちるのが特徴です。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは34.50%です。5年平均利回りも17%ありますので、好調ですね。
ただ、このくらいの利回りだと、果たして良いパフォーマンスなのかどうか判断がつきません。そのため、必ず他のファンドとパフォーマンスを比較してから投資をするようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +34.50% |
3年 | +7.46% |
5年 | +17.63% |
10年 | - |
※2024年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gは、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
The 5Gは直近では上位5%と非常に優れた結果を残していますが、3年平均は平均以下となっており、他にもっと優れたファンドがあることがわかります。
このように単に利回りだけを見ていると、気づけないことが色々見えてきますので、カテゴリー内での比較や類似ファンドとの比較は必ずするようにしてください。
上位●% | |
1年 | 3% |
3年 | 63% |
5年 | 35% |
10年 | - |
※2024年9月時点
年別のパフォーマンスは?
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
平均利回りで見ると、大きくプラスになっていますが、2018年、2022年のように大きくマイナスになる年もあるファンドなので、それをしっかり頭に入れた上で、投資をする必要があります。
年間利回り | |
2024年 | +41.36%(1-6月) |
2023年 | +45.93% |
2022年 | ▲34.49% |
2021年 | +17.18% |
2020年 | +39.20% |
2019年 | +38.56% |
2018年 | ▲13.38% |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gに投資を検討する上で、より低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
米国株式の比率が65%程度ありますので、ほぼ同じ比率で米国株式が組入られているeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスに差をつけられています。
また、5年平均利回りで見ても、THE 5Gのほうがパフォーマンスで劣ってしまっているため、あえて高いコストを支払ってアクティブファンドに投資をするメリットがないです。
The 5G | slim 先進国株式 | |
1年 | +34.50% | +22.39% |
3年 | +7.46% | +17.20% |
5年 | +17.63% | +20.70% |
10年 | - | - |
※2024年9月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたいと思うもの。
今回は、同じく海外株式ファンドで非常に優秀な運用がされている大和住銀DC海外株式アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
大和住銀DC海外株式アクティブファンドはかなりパフォーマンスが優秀なファンドなので、なかなか勝てるファンドは少ないですが、ほぼすべての期間でTHE5Gがパフォーマンスで負けてしまっています。
アクティブファンドに投資をするにちしても、このパフォーマンスだとあえてTHE 5Gに投資をするメリットを感じませんね。
The 5G | 大和住銀DC | |
1年 | +34.50% | +19.92% |
3年 | +7.46% | +9.12% |
5年 | +17.63% | +20.19% |
10年 | - | +15.00% |
※2024年9月時点
最大下落率は?
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも比較的落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここで次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5G の最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.36% |
3カ月 | ▲18.15% |
6カ月 | ▲26.35% |
12カ月 | ▲34.49% |
※2024年9月時点
最大下落率は2022年1月~12月の▲34.49%です。コロナショックはほとんど影響を受けなかったものの、2022年のパフォーマンスが悪かったことがわかります。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
わざわざ細かい口コミを見なくても、資金流入が多くなっていれば、人気が出てきている評判のいいファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
その点、THE 5Gは、2020年の後半からは毎月資金が流出が続いています。インデックスファンドにもパフォーマンスで負けてしまっているので、人気が落ちていくのも仕方ないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gの個人的評価まとめと今後は見通し
いかがでしょうか?
テーマ型のファンドというのは、時代の流行に乗れるかどうかがすべてです。
私個人としては、今後IoT社会はさらに発展していくと考えており、次世代通信関連 世界株式戦略ファンド THE 5Gというのは、非常に面白いと思っています。
過去にインターネット・トールキーパー企業といって、インターネットを積極的に活用することで売上の増加が期待できる企業に投資をするファンドがありました。
netWIN GS・インターネット戦略ファンドといって、現在でもかなりのハイパフォーマンスのファンドなのですが、これに近いインパクトがあるのではないかと考えています。
ただ、残念ながらTHE 5Gは、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比べてもパフォーマンスで大きく負けてしまっています。この現状から考えると、あえてテーマ型で絞らずとも、インデックスファンドに投資をしておいたほうがよいということです。
インデックスファンドへの投資でもTHE 5Gが投資している企業とかなり重なりもあることから、無理にテーマ型ファンドに投資をする必要はないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点