独立系の運用会社として、レオスキャピタルやコモンズ投信、セゾン投信などと肩を並べるさわかみ投信。
さわかみ投信の特徴と言えば、「一般家庭の財産づくりを本格的な長期投資でお手伝いしたい」という創業理念のもと、さわかみファンド1本で運用をし続けています。
この1ファンドだけで3000億円もの資金を集めて運用しているというのは、本当にすごいことです。
しかし、他のファンドと比較すると、意外な結果が・・・
今日は、さわかみファンドの評判や今後の見通しなど、独自の目線で分析していきます。
さわかみファンドの基本情報
投資対象は?
さわかみファンドの投資対象は、日本国外の株式・債券で、投資割合は特に定めず、割安銘柄を長期間保有していきます。
現在の組み入れ銘柄は約120銘柄で、すべて国内の株式に投資をしています。
組入上位10社を見てみると、日本電産、ブリヂストン、花王ダイキン工業・・・など、名だたる企業が名前を連ねています。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
さわかみファンドは1999年8月の設定以来、着実に純資産を伸ばしており、現在では、3800億円規模にまで膨らんでいます。
パフォーマンスはお世辞にも良いとは言えないにもかかわらず、1ファンドだけで3800億円集められるさわかみファンドの凄さがこの数値でわかります。
いかに顧客との良好な関係を築いているかがわかりますね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
さわかみファンドの実質コストは1.10%と他のアクティブファンドを比べるとかなり安くなっています。
コストが安いというのも一つ人気の理由なのかもしれません。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 1.10%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.10%(概算) |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
さわかみファンドの評価分析
基準価格の推移は?
さわかみファンドは、2022年に伸び悩んでいましたが、2023年かまた大きく上昇し始めました。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
さわかみファンドの直近1年間の利回りは18.96%です。
3年、5年、10年平均利回りも5%以上のプラスですので、悪くないように見えますが、この時点ではまだ判断がつきません。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +18.96% |
3年 | +11.02% |
5年 | +4.98% |
10年 | +7.88% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
さわかみファンドは、国内大型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
さわかみファンドの利回りは悪くないように見えましたが、同カテゴリー内でのランキングでは、下位20%程度に入ってしまっています。
上位●% | |
1年 | 81% |
3年 | 63% |
5年 | 85% |
10年 | 86% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
さわかみファンドの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年、2022年は2桁のマイナスとなってしまいましたが、それ以外の年では、しっかりプラスのリターンを残しています。
ただ、これでも同カテゴリー内でのランキングでは、下位に沈んでいるので、注意してください。
年間利回り | |
2023年 | +19.65%(1-9月) |
2022年 | ▲10.44% |
2021年 | +11.24% |
2020年 | +11.06% |
2019年 | +14.75% |
2018年 | ▲17.23% |
2017年 | +25.05% |
2016年 | +1.34% |
2015年 | +6.91% |
2014年 | +12.11% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンスの比較
さわかみ投信信者の方には衝撃の事実になるかもしれませんが、さわかみファンドは実はそこまで利回りが優れているというわけではありません。
試しに、日経225に連動するインデックスファンドの代表格でもあるニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年では、ほぼ全期間において、ニッセイ 日経225インデックスファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。
直近3年間だけでなく、5年、10年で見ても、パフォーマンスでインデックスファンドに負けてしまっており、これでは、高いコストを支払う意味がまったく見当たりません。
さわかみファンド | ニッセイ日経225 | |
1年 | +18.96% | +25.03% |
3年 | +11.02% | +13.02% |
5年 | +4.98% | +7.56% |
10年 | +7.88% | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンスの比較
さわかみ投信へ高いコストを支払うのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから判断しても遅くありません。
今回は、さわかみ投信と同じカテゴリーで長期で高いリターンを出しており、非常に人気のが高いスパークス・新国際優良株ファンド「厳選投資」とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、さわかみファンドのほうが上回っています。
ただ、より長期の5年、10年平均利回りで比較をしてみると、厳選投資のほうが大きくパフォーマンスで上回っています。高いコストを支払うのでれば、パフォーマンスも優れたファンドに投資をしたいものですね。
さわかみファンド | 厳選投資 | |
1年 | +18.96% | +27.48% |
3年 | +11.02% | +8.05% |
5年 | +4.98% | +5.79% |
10年 | +7.88% | +13.60% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、さわかみファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲20.56% |
3カ月 | ▲33.32% |
6カ月 | ▲39.08% |
12カ月 | ▲46.86% |
※2023年10月時点
さわかみファンドの最大下落率はリーマンショック時で約50%近く下落したこがあります。これ以上に下落することはさすがにないと思いますが、大きく下落したこともあるということは忘れないようにしてください。
とは言っても、中長期で保有することでしっかりプラスのリターンを出せていますので、下落したからと言って、すぐに売却しないようにしましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。
さわかみファンドは直近5年間で見ると、資金の流出のほうが大きいことがわかります。直近も流出超過と流入超過の年が交互になっています。
ここからも評判は悪くなっていることがわかります。
インデックスファンドに負けるようなパフォーマンスしか出せていないので当然と言えば当然の結果でしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
さわかみファンドの今後の見通し
いかがでしたでしょうか?
さわかみファンドの場合、セミナーなどに参加をして会社の理念や代表の思いなどに共感して、投資をしている方も多いと思います。
もちろん信頼できると思った人に運用をお願いするのが一番安心な気がしてしまいますが、信頼できるから高いパフォーマンスが期待できるわけではありません。
逆に、信頼しているからこそ、本来確認すべき点がおろそかになり、投資判断を誤ることさえあると私自身は考えます。
さわかみファンドは客観的に見て、非常に優れているかというと決してそうは言えません。
さきほども例で示しましたが、超低コストのインデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっていますし、アクティブファンドで言えば、厳選投資などはるかに優れたファンドが存在します。
今後も利回り5%以上は期待できると思いますが、その程度の利回りでよいのであれば、わざわざアクティブファンドで運用しなくても達成できてしまいます。
アクティブファンドに投資をするのであれば、もっとパフォーマンスが優れたファンドを探しましょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点